どうも、りょうかん(@ryokan_1123)です。
鳥取駅から徒歩5分の場所で「Book Cafe ホンバコ」というカフェの店主をしています。
ありがたいことに、2017年5月23日で2周年を迎えることが出来ました!
少し小っ恥ずかしいですが、感謝を綴ります。
勢い任せの1年目、支えられた2年目。
鳥取初上陸&47都道府県最終出店のスターバックと奇跡的に同日OPENとなったことで、鳥取県内の全ての主要メディアで取り上げていただきました。
そのおかげで幸先の良いスタートを切ることが出来たのですが、飲食経験も経営経験もゼロという状態で勢い任せに始めてしまったためか良い流れを収益に繋げることが出来ず、1年目は大赤字を計上してしまいました。(この詳細に関しては下記の記事にまとめていますのでご参照ください)
そんな状況に終止符を打とうと、上記の記事を書くなどきちんと経営上の数字と向き合うことを始めたのが2年目に突入する頃でした。
しかしながら、数字をきちんと見始めたからと言ってすぐに収支が改善されるわけではありません。
結果から言えば、2年目(2016年)の決算は黒字とすることが出来たのですが、正直に言って支えられてばかりの1年間だったと思います。
チャレンジショップの成果
2年目に実施したことのひとつに「チャレンジショップ」があります。
定休日など遊休化している時間帯の店舗活用法として実施することにしたこの企画ですが、良いことも良くなかったこともたくさん感じることがありました。
この「チャレンジショップ」の企画では、[平日夜][土曜夜][日曜]の3つの時間帯に3組が自分の店舗を持つチャレンジを始めたのですが、それぞれに物語があり、個別の記事に出来そうなぐらいたくさんのことを考えさせられました。
この機会にそれぞれのチャレンジについて、簡単な総括を書いておこうと思います。(企画の詳細は下記の記事をご参照ください)
[平日夜]沖縄BAR
沖縄出身の鳥取大学の学生が主となり始めましたが、開始2ヶ月半で継続を断念。彼の事業を興すことへの覚悟が足りなかったのか、僕の長期スパンで育てようとする覚悟が足りなかったのか。学生が「やりたい」と挑戦することに対して、社会人としてどう接するべきなのか考えさせられる機会となりました。(そしてまだ答えは出ていません)
彼は今『夢限 -MUGEN-』というプロジェクトを始めているみたいですが、変わらず挑戦しようとしていることに対して応援したい気持ちも抱きながら、過去の反省が何も活かされてないように見えることへの憤りを感じてしまうため、現在の僕は静観のスタンスをとっています。
そして、彼のチャレンジに協力しようと一緒に沖縄BARを始めていた女性は、「一度始めたことを中途半端に辞めたくない」と彼が継続を断念した後も、約6ヶ月にわたって平日夜のホンバコを支えてくれました。
精神的にも肉体的にも本当に苦しかったと思います。普通のアルバイトとしての働き方では味わえない楽しさも感じながらも、力の無さも必要以上に感じてしまう。いろんな感情が湧き出ては、それにひとりでぶつかっていかなければならない。自分が主で始めたことでないことなのに、そんなところまで背負って続けてくれていました。
そんな状況に追い込んでしまっていたことを、僕自身はものすごく反省してます。彼女にとってもっと良い選択肢があったんじゃないか。今でも考えてしまいます。
彼女には感謝の気持ちでいっぱいです。「将来自分の店を持ってみたい」と言っていた言葉を信じて、この経験が活きる日がくることを願ってます。
[土曜夜]サタデーイノシシbar
土曜の夜は、琴浦町で地域おこし協力隊をしている高橋龍太くんが店主となり、「サタデーイノシシbar」をやってきました。彼自身が普段は協力隊として鳥獣害対策の担当をしていることもあり、狩猟に携わる人や他地域の協力隊員がよく集う場となってきていたのが印象的です。
イノシシの肉を使ったおつまみメニューとアルコールが中心だったのですが、ホンバコの通常営業中だと思って来られる方もおり、時間帯によってまるっきり異なる店として営業すること、そしてその周知の難しさを痛感しながらの1年間でした。
そして、「サタデーイノシシbar」は営業の主軸を本拠地・琴浦町へ移すこととなり、ホンバコでの営業は2017年6月末をもって終了とすることになりました。
2017年2月に発足した新人狩猟者サークル「CAZADOR(カサドール)」や、2017年5月に琴浦町でスタートした日替わり店主の店「鳥の巣」などの活動は、おそらくここでのチャレンジの流れの中で生まれたのではと思っています。
集客が難しかった部分もあると思います。普段のホンバコのイメージに無い『ジビエ』というキーワードが週に1回の営業ではなかなか浸透しなかったもどかしさもあったかもしれません。
ただ、ここで営業をしたことで彼のこれから活動に繋がっている事実が、何より嬉しいです。今後の活躍にも期待してます!
[日曜]デザート喫茶lentement
「将来、地元・徳島で自分のお店を持つ」と語っていた環境大の学生の井上嵩規くんが店主となった日曜日。元々は集客が難しいと判断して定休日としていたのですが、彼の営業力は凄まじく、その苦境を大きく覆す結果を残してくれました。
もちろん(僕自身が学ばせてもらう点がたくさんあるほど!)尊敬に値する素敵な彼の接客スタイルや立ち振る舞いと、お世辞抜きに美味しいケーキとドリンクがあってこそですが、高校生や大学生を中心に学生のニーズが確実にあることをはっきりと示してもらったことは、今後の日曜営業を考える上で本当にありがたいデータです。
しかも、彼の経営に対する姿勢も素晴らしく、家賃に相当する店舗使用料を、当初の『売上変動(20%)』のスタイルから、よりリスクも大きく金額も高めの『金額固定』のスタイルに変更したいと、途中で自ら提案してきてくれました。「実際に店舗を持つ形により近づけたい」という前向きな考え方に、本当に感服しました。
チャレンジショップを始める相談をしている段階から営業期間は「1年間」と決めていたので、デザート喫茶lentementの営業は2017年6月末をもって終了となります。(高橋くんと同じタイミング)
現在4年生の彼は、大学卒業後、徳島に帰って地元企業に就職するそうです。そして、開業資金をきちんと貯めたのち、自分のお店を開店するということなので、その日が来るのが今から楽しみですし、この1年間の経験が活かされると嬉しい限りです!
オープニングスタッフの卒業
2周年を迎えるにあたり忘れてはならないのが、開店当初から支えてくれていたオープニングスタッフが全員ホンバコから卒業をしたことです。
途中からは焼き菓子を中心に担当してくれていた安藤明日生は、自身の夢を叶えるために2017年1月に鳥取を離れ、鎌倉に移住をしました。
参考:23年過ごした鳥取から鎌倉へ移住。安藤明日生が蒔いた種と芽吹く未来は。
イベント時や土曜祝日の繁忙日に助っ人的に入ってもらっていた上島拓真は、大学卒業と同時に、高い倍率をくぐり抜けて、リノベーション業界では有名な「リノベる株式会社」に就職しました。
そして誰より、ホンバコの昼の顔としてたくさんの癒しを与えてくれていた七理由芙さんも、2017年2月末をもって自身の「BOSK FLOWERS」に集中するためホンバコから卒業をしました。
由芙さんは、僕と最も長い時間をホンバコで共有し、メニュー開発からファンの獲得、そして時には僕の相談役として、様々な部分で支えてもらっていました。
僕が不甲斐なかった分、由芙さんには大きな負担を強いてしまっていたと思います。些細な部分の掃除を隙間時間にきちんとしていてくれていたり、「家庭料理しか作ったことがない」という中でスパイスから作る本格的なカレーのメニューを開発してくれたり、そして、今のホンバコでも人気メニューでとても美味しいベイクドチーズケーキも、元々は由芙さんが試行錯誤してレシピを作ってくれたものです。
ホンバコが2周年を迎えることが出来たのも、1年9ヶ月にわたってしっかりと支えてくれた由芙さんがいてくれていたおかげだと強く思います。
現在は、下記の記事でインタビューした時に語っていたように、『キヨスクのような花屋さんを目指して』本格的に挑戦を始めているそうです。
ホンバコのスタッフとして働いたことが、由芙さんにとって、そしてBOSK FLOWERSにとって、良い踏み台となったのか。実は不安でいっぱいなのですが、これから大きく飛躍すると信じて、これからも密かに援護射撃を送り続けようと思います。
最後に
1年目より圧倒的に苦しさの多かった2年目でした。様々なことが冷静に見え始めてくるので、色々と考えすぎてしまった部分もあるのかもしれません。自分の不甲斐なさに自信を無くし、精神的に消沈してしまっていた時期もありました。
それでもここまで続けることが出来たのは、先述してきた方達や、物件オーナーの阿部さん、鳥取家守舎の方々をはじめ、関わってくれた方々からの叱咤激励、そして、日々の営業の中でホンバコに来てくださっているお客さんから伝わってくる不思議なパワーのおかげです。
これまでの感謝を込めて開催した2周年パーティ「一夜限りのおばんざい屋さん」には50名以上の方に来店していただきました。バタバタでひとりひとりとはあまりお話が出来なかったですが、本当に嬉しかったです。心の底から感謝を伝えたい。ありがとうございました。
2017年4月からは、新たに優秀なスタッフを加え、新たな体制として営業を再スタートしています。これまでブレブレだった軸をしっかりと決め直し、『この場所で良い時間を過ごしてもらう』ために、日々改善を繰り返しています。
まだまだ未熟者な僕ですが、これだけ愛されているこの場所をしっかりと守り続けていきたい。そのために少しずつでも成長していこうと思いますので、温かい目で見守り、時には厳しい言葉を、そして力を貸していただけると嬉しいです。
3年目に突入したホンバコを、これからも変わらずよろしくお願いします!