どうも、りょうかん(@ryokan_1123)です。
鳥取のイラストレーター界を間違いなく引っ張っているイラストレーター「Clara (クララ) さん」のインタビュー記事を公開します!
彼女のあまり知られていない過去の話から、「ぶっちゃけ生計が成り立っているの?」なんてゲスい話まで、色々と盛り込んだ約1万字の超ロングインタビューです。
休憩を挟みながら、ゆるりとお読みください。
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大倉 さゆり(Clara)
鳥取県 出身&在住
大阪芸術大学付属大阪美術専門学校 卒業
イラストレーター
名前はバイトの先輩に付けてもらった
── 僕にとって、初めての公開インタビューを企画してみました。初回の今日は、イラストレーターのClaraさんをお招きしました。早速、始めたいと思います。Claraさん、よろしくお願いします。
Clara りょうかんさん、よろしくお願いします。
── まずは、初めましての方に向けて、簡単に自己紹介をお願いします。
Clara イラストレーターをしてますClara(クララ)と申します。
鳥取で生まれて、一度県外に出たんですけど、6年前に鳥取に帰ってきて、そこから鳥取でイラストレーターとして本格的に活動をしている感じです。
── ちなみにずっと気になってたんですけど、「Clara」の由来って何なんですか?
Clara 由来は……、私は鳥取シネマという映画館で18歳、大学1年の夏からずっとアルバイトをしてるんですけど、そこのバイトの先輩に付けてもらったあだ名なんです。本名が「大倉」なので、大倉の「くら」と外国のかわいい女の子をイメージで名付けたんだと思います。
はじめはあまりにも外国人っぽい名前でびっくりしたんですけど、せっかくつけてもらった名前なので、綴りもそのまんま私のアーティスト名にしてずっと使ってて、今に至ります。
今はみんなから「Claraちゃん」って呼ばれることが多いので、使ってて良かったなって思います。(笑)
── 本名から付けられたあだ名が由来だったんですね!
あれ? 大学1年の時から鳥取シネマでバイトって……、大阪の学校に行ってたんじゃなかったですっけ?
Clara そう、20歳から大阪の専門学校に行ったんですよ。
それまでの2年間は鳥取環境大学(以下、環境大)に通ってたんですけど、途中で辞めて大阪に行ったんです。
大阪の学校に行っている間も、長期休暇で鳥取に帰ってきた時には鳥取シネマで働かせてもらってて、鳥取にUターンしてからも「職が見つかるまで働いたら?」と言ってもらえて、かれこれずーっと、もう13年目になりました。(笑)
── それはもう、かなりの重鎮じゃないですか!(笑)
Clara いやいや、まだまだアルバイトのペーペーっていう立場です。(笑)
小さい頃から絵を描かされていた
── 話を戻しまして。
イラストレーターを目指すきっかけは、何かあったんですか?
Clara もともと父親が油絵を描いていたんですけど、その関係で小さい頃から絵を描かされていて……。
── 描かされていた、って表現なんですね。
Clara 自分が描きたいと思って描いている感じじゃなくて、その時はイヤイヤでやってたんですよ。休みの日になるとスケッチブックを持っていろんなところに出かけて絵を描いたり、家だとぬいぐるみとかを机の上に置いて姉と一緒にスケッチをしたりするのが、父親と過ごすアートの時間でした。
でも、たぶんそれが心に残っていて、大人になってからも絵を描くことが好きだったので、そうやって続けているうちにイラストレーターっていう仕事があることを知って、ちょっとチャレンジしてみようかなと。
── そう思ったのが環境大を辞めて大阪の学校に行くことを決意した頃ですか?
Clara そうですね。本格的にチャレンジしようと思ったのが、19歳でしたね。
環境大の学務の前で行くことになる大阪の専門学校のパンフレットを見つけて、それを見たらイラストレーターになるためのコースがあって、「イラストレーターの勉強ができる学校があるんだ」っていうのを知ったんです。それで、親に怒られながらも進路変更しようと。
── その時はどんな風に反対されたんですか?
お父さんが油絵をやってるのであれば、理解がされそうな感じがしますが。
Clara 父親は絵を描くことが仕事になるなんてさらさら思っていなかったのですごく反対したんです。でも、母親は「とにかくやりたいことがあったらやってみたら?」と後押ししてくれました。
── 一悶着あった感じなんですね。
Clara 一悶着も二悶着もありました(笑)
父親には卒業するまで許してもらえなかったですから。
私のアートのことや何を勉強してるかはは一切聞かれずに、「興味も持ってないよ」「許してないよ」みたいな感じが専門学校を卒業するまでの2年間ずっと続いたんです。
ただ、2年間の集大成の卒業制作を作った時に初めて学校まで見に来てくれて、その時にやっと「私の絵のことに興味を持ってくれたのかな、許してくれたのかな」って思いましたね。
── ずっと反対されてたんですね。ちなみにその卒業制作ってどんな作品だったんですか?
Clara 気になります?(笑)
こんな感じで「Laugh」をテーマに口を大きく開けて笑ってる色々な国の人の笑顔を10枚描きました。
当時はサイケデリックな模様がとても好きで、こういう模様を髪の毛にしたらどうだろうと思い、卒業制作で描いてみたんです。いろんな人に聞いてみたら、これがなんだか良かったみたいで。(笑)
── 卒業の頃に鳥取市の駅前にある『ギャラリーそら』で展示されたのがこの作品だったんですか?
Clara そうそうそう、よくご存知で!
せっかくだから鳥取の方にも見て頂きたいなと思って、卒業してからこの卒業制作をギャラリーそらで展示させて頂きました。
そして、その時は1日だけの展示だったんですけど、たまたま見に来て頂いていたのが『とっとりNOW』(3ヶ月に1回発行される情報誌)の編集長さんで。
その時に名刺交換をさせて頂いて、1年後のある日突然「次のとっとりNOWの表紙に使わせて頂きたい」と連絡があったんです。
あの時ギャラリーそらで展示をしていなかったら、鳥取には帰って来てなかっただろうし、こんなにいろんな方に知ってもらえるきっかけもなかったんだろうなと思って、あの展示はすごく心に残っていますね。
とっとりNOWの表紙(一部)
卒業制作が今のルーツ
── 『とっとりNOW』の依頼が来る前に、鳥取では何か活動されてたんですか?
Clara 鳥取では全くしてなかったですね。
── じゃあ本当に『とっとりNOW』が鳥取でのデビューだったんですね!大抜擢じゃないですか!
Clara 大抜擢で、大ブーイング。
── 大ブーイング?
Clara それまでは 徳持耕一郎さん やいろんな大御所の方が担当されてきた中で、はじめて新人で、無名で、「誰この人?」みたいな感じの人が表紙をすることになったので、やっぱり「これでいいのか?」とか「この絵はどうなんだ?」とか色々な意見があったみたいなんです。
結局5年間、その時々の特集になっているものをモチーフにして、春夏秋冬のいろんな色を取り入れたり、編集長と「あれがいいこれがいい」と言いながらさせていただく中で、徐々にみなさんにも受け入れられているのがわかったし、その中でイラストレーターっていうお仕事をどうやってしていけばいいかっていうのも、その編集長に教えて頂きながらできたので、本当にありがたかったです。
── 専門学校に通ってる頃からこのテイストの絵を描かれてたんですか?
Clara いやいやいや、専門学校の時は白黒の絵も描いたり、色鉛筆で塗るような絵も描いたり……、何が自分に向いてるかっていうのを見つけるのが精一杯でした。
そんな中で、専門学校に入るまで使ったことがなかったアクリル絵具とかアクリルガッシュとかなんかの授業も受けて。2年間の集大成(卒業制作)をどうしようって思った時に、せっかく学んだ画材だからそれで作りたいなと思って、初めてこういうカラフルなのを描いたんです。
── 卒業制作で描いた初めての挑戦が、今にまで繋がってきてるんですね。
Clara 今に繋がっている、これがルーツです。
── 今はどんなこだわりを持って作品を作られてるんですか?
Clara 最近は、最初の時とはちょっと考えが変わってきまして、見ていて笑えるような、少しクスッと笑えるような、「なんでこんな格好しているんだろう」とか「なんでこんな顔してるんだろう」とか、なんかわかんないけどおもしろいと言われるようなイラストを描きたいなと思ってます。
『笑顔』というテーマは昔から変わらないんですけど、今はみんなが笑ってくれるような絵をモットーに描いてます。
── 『笑顔』っていうのはやっぱり自分の中でのこだわりなんですか?
Clara 怒ってる顔とかこわいじゃないですか。(笑)
一番人間の中で笑ってる顔がやっぱり落ち着くし、安心するし、見ていていいなと思うので、私はそういうのをテーマにしていつも描くようにしてます。
── なんかClaraさんっぽいですね。(笑)
気づいたんですけど、最近は動物をモチーフにすることが多くないですか?
Clara 動物ね!そう、そうなんです!
鳥取市の猫カフェ(Cat Cafe Kitty Blue)で壁画とかに絵を描かせて頂いた時に初めて猫を間近で見たですけど、「なんて面白いんだろう」と思って。(笑)
それから猫をモチーフとした作品を描くようになりました。
他の動物を見ても、笑わないけど面白い動きをすることがあるじゃないですか。そういうのを自分の作品に取り入れたいなと思って、最近は自然と多くなっています。
それに、「これは猫!」「これはうさぎ!」とあんまり決め付けずに、見た人が「猫かな?」みたいな感じで雰囲気で感じてもらえたらいいと。
── 確かに、最近はそんな作品が多いですね。
繋がりの中でお仕事を頂いている
── イラストレーターとして、他にはどんな仕事(依頼)があるんですか?
Clara 例えば、手話パフォーマンス甲子園のポスターを描かせてもらっていました。見たことはありますか?
これはストーリーをつけたらおもしろいんじゃないかと思って描きました。
この4人は最初の部員なんですよ。1年目の部長さんが卒業して、2年目にはこの3人と新入部員のうさぎが加わって出場してる感じになってまして(笑)
3年目はちょっとイラストの小さいポスターになっちゃったんですけど、さっきのメンバーと変わりなく3回目も出場という形になっています。
左の絵が1年目 右の絵が2年目
── そんな裏ストーリーがあったなんて!(笑)
1年目左上に描かれている部長は今何やってるんですかね?(笑)
Clara 部長はたぶん社会で頑張っています。(笑)
── 部長の代は部員が1人だったんですね。
Clara そう、1人だけ卒業で名残惜しかったんですけど、今はこのメンバーで。一番優しそうな部長だったんですけど。
こんな感じで次どうしようかなっていうのを実行委員の方と相談して、「1回目に居なかったうさぎが入ってるのはなんでだろう」って少し面白さを感じてもらえたらなと思って描きました。
── あと僕の知ってる範囲だと、鳥取市プレミアム付き地域振興券『ふくちゃん券』のイラストも担当されてましたよね?
初めてClaraさんの絵を見たのが『ふくちゃん券』だったのでよく覚えてますよ。
Clara ほんとに!?
── 高校卒業以来、ずっと鳥取にいなかったので、『とっとりNOW』も知らなくて。
『ふくちゃん券』で初めて存在を知って、その後に名前をよく聞くので「どんな人だろう?」とずっと思っていました。
Clara それで今日呼んでいただいてねぇ、良かった。(笑)
『ふくちゃん券』は、「とにかく派手で、見つけやすくて、使いたいと思えるような券にしてほしい」という依頼だったので、ご高齢の方でもすぐわかるように黄色とかがいいかなと思って、面白い感じのイラストと一緒に入れてみました。前の年までは地味目なイラストだったので、ご高齢の方で買ったけど使わずに終わってしまうことがすごく多かったみたいなので。
あと、今までは若い方が地域振興券を買うことが少なかったみたいなので、若い人にも買ってほしいなって気持ちを込めて、若者向けで描かせて頂きました。
すごく人気だったみたいなので、また次回も依頼を頂きたいですね(笑)
ふくちゃん券 発売開始当時のチラシ
── 『猫カフェ』や『ふくちゃん券』のような仕事は、先方から依頼が来るんですか?
それとも自分から営業のようなことをするんですか?
Clara ありがたいことに、この2つは頂いたお仕事ですね。
「こういうイラスト描く人がいるけどどう?」とか「ここにこの絵描いてみない?」とか、いろんな方からの繋がりでお仕事をさせて頂いているので、本当に周りの方に感謝です。
── 他にも、例えば智頭街道のアーケードにも作品が飾られてますよね?
Clara 智頭街道のアーケードのは、あそこに貼るイラストを募集しますっていうコンテストがあって、私はイチ応募者として応募したところ、入賞5人の中に入れて頂いて実際に飾って頂いてるんです。
でも、なんだか出入り口にある私の絵が目立つみたいで、みんなが「クララロードだ」って言うんですけど、実際は5名みんなの絵が飾ってあるので、他の方もいらっしゃるよーっていうのを感じながら見て頂けたらありがたいですね。
── あとは、しゃんしゃん祭りのポロシャツのデザインもされてましたっけ?
Clara そうですね。2014年だから2年前に。その年はしゃんしゃん祭りの50周年だったので、50周年記念のポロシャツを作りたいということでお話を頂いて。
「描きたい風に描いてみて〜」と言われたので、ビクビクしながらも私が描きたい風に描いて出してみたら、直し無しであれよあれよと採用されまして。結局そのままポロシャツの絵になりました。
── このポロシャツは今でも買えるんですかね?
Clara どうなんでしょうか?
結局私もゲット出来ず、画像しか残っていないんで、もし売っているところがあったら買いたいんですけどね。
── え!そうなんですか!? 描いた本人ゲット出来ず!(笑)
詳しいことを知ってる方がいらっしゃったら、是非教えてください!!
イラストレーターだけで生計を立てるのは厳しい
── しゃんしゃん祭りのポロシャツ以外にも、Claraグッズって何かあるんですか?
Clara イラストレーターと並行してグッズ製作もしてまして。
ぽち袋だったり、キーホルダーとか、ポストカードとか、自分の絵を取り入れたグッズを鳥取市内や県外でも販売させて頂いております。
例えば、山二鳥さんには、ぽち袋とかしおりとか、普段使えるようなものを置かせて頂いていたり。
山二鳥に置かれるClaraグッズ
── こういうグッズは、自分で考えて、自分で作るんですか?
Clara そうです。各地いろんなところのギャラリーとか雑貨屋さんに行った時に、「こういうのを自分のグッズにしたらおもしろいかも」っていうのをメモしておいて、帰ってきてから出来そうなものを作るっていう感じにしています。
── ネット販売とかはされてないんですか?
Clara 「SUZURI」っていうサイトでTシャツ、スマホケース、トレーナー、よだれかけ、トートバッグとかを販売してます。このサイトは画像を送ると向こうでグッズ化してくれるんですよ。
── 「SUZURI」や「canvath」みたいな在庫リスクを抱えずにオリジナルグッズを作れて販売できるサイトを使うのはいいですよね。
ぶっちゃけた話、売れてますか?
Clara 売れてないですねぇ……(泣) これはやっぱり難しいです。
在庫を抱えないからすごくいいなと思って登録したんですけど、このサイトには大勢の作家さんやアーティストの方がいらっしゃるんで、本当にズバ抜けていいものじゃないと見てもらえないし注目もしてもらえないので。そういうのがやっぱり難しいなって思ったりしてます。
── イラストレーターの販路のひとつとしてネットの活用は大事なのかなと勝手に思っているんですけど、どうなんでしょう?
Clara あっ、最近 LINEスタンプ を初めて作りました!
自分では今までLINEスタンプを買ったことがなかったので、スタンプ自体よくわかっていなかったんですけど、周りが作れ作れというので、実際作ってみたらすごく評判が良くて(笑)
── これまたお金の話になっちゃいますけど、LINEスタンプはどうなんですか?儲かるんですか?
Clara どうなんですかねぇ。LINEスタンプの場合は、割と作ってすぐボンと売れましたね。それからはずっと平行線みたいな感じなんですけど。
── あっ、意外にも定期的に売れているんですね!(←失礼)
イメージ的に、こっちも苦戦してるのかな?と思ってました。
Clara そうなんです。しかも、世界中の人が買えるっていうのも知らなかったんで。
いろんな国々の方が使ってくださったり、私のイラストをこのLINEスタンプで知ってイラストを見に来てくださるって方も多いので、すごくこのLINEスタンプっていうのはいいアイテムだなと思ってます。
── LINEスタンプの第二弾とか、作らないんですか?
Clara 第二弾ね。今のスタンプは文字が小さすぎて、ちょっとアダルトの方が見にくいっていうご指摘がありまして。なので次は大きな文字にしてシニアの方も使えるようにしたいです。
── 海外も意識して、英語版や中国版も作ってみるのはどうですか?
特にClaraさんのイラストのテイストは、中国人が好きそうな感じがします!
Clara 私自身、英語も中国語も全くしゃべれないのでまずはそこから……。(笑)
海外向けというか、世界の人が文字を気にせず使えるLINEスタンプも作りたいと思って考えているところです。
── 個人的に気になっていて、今日聞きたかったことのひとつが、「イラストレーターとして生計が成り立つのか」ということなんですけど。答えれる範囲でいいので、教えてもらえたりしますか?
Clara イラストレーターだけでってことですよね?
・・・それは、なかなか難しいです。だから、アルバイトもしてますし。
お面を作ろうとか似顔絵描きますとかのワークショップでイベント収入を得たり、グッズやLINEスタンプの販売をしたり、ちょこちょこやってますけど、それでも現段階では厳しいですね。
── やっぱりなかなか厳しんですね……。鳥取でイラストレーターを生業として生計を立てようとしている人って、Claraさん以外でどのくらいいらっしゃるんですか?
Clara 私もあんまり知らないんですけど……、生計を立てようとしてる方は、なかなかいないかもしれないですね。結婚されてアーティストをしている方とかは周りににはいるんですけど、本当にイラストレーター一本でやってる方っていらっしゃるんですかね?
あんまりそういうシビアな話はあんまりしたことないんで、わからないです(笑)
でも、みなさん頑張ってると思います。
── やっぱり想像以上に大変な世界なんですね。
Clara 都会では、イラストレーターの方がたくさんいる中で自分が輝き続けて注目してもらわないといけないっていうので、たぶんすごく苦労をされてると思うんです。
逆に、鳥取に住んでる私は、何かをすれば新聞やテレビだったりが取材をしてくださって、いろんな方が知ってくださるっていうのはあるんですけど、ずっと同じことしてるんじゃ面白くない。いろいろなことを取り入れながら、徐々に進化していかないとすぐに飽きられちゃうというのは感じています。
── 今後どうしていこうとかって、考えていますか?
Clara 今後はまず、鳥取の方はありがたいことに知ってくださっているので、鳥取県外に出てもっといろんな方に知ってもらえるような活動をしなきゃなぁっていうのは日々感じています。
個展をするにも自分の知らないところでやってみてどういう反応があるかっていうのをちゃんと知らないといけないし、そこから自分がどうやっていこうっていうのを考えないといけないなって。
でも、都会はこわくて、なかなか一歩が踏み出せない(笑)
── Claraさんが都会にいるイメージが湧かない!
今年の3月にとあるイベントで一緒に飛行機に乗って東京に行ったんですけど、その時もあたふたしてましたもんね。(笑)
Clara 私は人ごみにすごく酔うタイプなんで、その時はまずは酔わないようにと思って(笑)
東京には展示とか気になるものがある時に行ったりはするんですけど、電車とかは人が少ない時を狙って昼から行動とか、夕方になると満員になるんでそれまでに帰るとか、考えながらやっていかないと流されちゃうんで……。
── 大阪にいた頃は平気だったんですか?
Clara 大阪時代も酔ってました。難波とか地下に入ると人と肩が当たるくらいワァーって人がいるので、そこをいかにすり抜けるかっていうので必死でした。
── 最近も大阪に行くんですか?
Clara 大阪はバスで行けるんで3ヶ月に1回くらいは行ってます。展示会に行ったり、映画も好きなんで映画を観たり。
── 今度は映画の話がしたいですね。別企画でやりましょう。
ここで一旦休憩を挟んで、後半は会場からの質問を受けようと思います。
紙粘土で人生が変わった
── そろそろ皆さん戻ってきたかな?
なにか質問がある方がいれば手を挙げてください。
会場 鳥取環境大学にいた時には何を勉強されてたんですか?
Clara 環境大学の時は建築学科でした。今はもう無いんですけど建築デザインを学ぶところがありまして。
私が通っていた高校は保育・福祉の専門コースだったんで、普通の高校生が学ぶような数学は勉強してなかったんですね。なのにそのまま大学に行ってしまったもんで数学がとにかくついていけなくて、大学在学中も私は居残りで高校1年からの数学を学んでたんですよ。
── 高校の数学をせずに大学の数学をするってかなりキツくないですか!?
Clara キツくて、本当に。「θ(シータ)」とかそういうのわかんなかった。あのお米みたいなマーク。みんなから遅れをとりながらも頑張ってやってたんですけど、もう違うかなーと思って。建築を甘くみてたんですよね。数学がそんなに重要だと思っていなかったんで。
その時に大阪の専門学校のパンフレットを見つけてしまったもんで、そっちに気持ちが入ってしまったっていう感じです。
そのパンフレットには、付録で紙粘土が付いてたんですよ! 紙粘土が欲しくて持って帰ってたんです。すごくお得なパンフレットでした(笑)
── 紙粘土欲しさ!?
Clara え!だってあんまりなくないですか? 紙粘土が付いてるパンフレットなんて!
── ないですけど、それに食いつく人もあんまりいないかと(笑)
ちなみにその紙粘土で何を作ったんですか?
Clara 何作ったんだろ? たぶん動物作った気がする。だからすごく印象に残っています、あの時のことは。運命の紙粘土。
私の勢いは誰にも止められなかった
── さっき聞いたところによると、会場にClaraさんのお姉さんがいらっしゃるとか……。
姉 姉です。保育士をしています。あまり仕事の話を家ではしないので、パンフレットの紙粘土の話も初めて聞きました。こういう場面で話すことはいつもと違うんだろうなと思って、聞かせてもらいにきました。
Clara ありがとうございます。バレちゃいましたね。あんまり仕事の話は家ではしないんで。
── Claraさんは、どういう幼少時代だったんですか?
姉 途中から来たから、最初にどのくらい自分のこと喋ったんかわからんけど……。
Clara でも、小さい時からよく一緒に絵を描かされてたよね。
姉 うん、描く環境ではあったかもしれない。
Clara 人形を置いてスケッチしたり。スケッチブックがいつも自分用に用意されてて。
姉 雛祭りの時に人形があったら、割り箸に墨つけてそれを描いてみようとか。太い線と先を使えば線が細くなるしっていうのをわからんなりに描いてました。
Clara 私はイヤイヤでしたけど。
── お姉さんはどうだったんですか?
姉 よくわからないで描いてました(笑)
Clara 2人ともよくわからないで描いてました(笑)
「今日はこれでこれ描くぞ」とか言われて、なんかよくわからないまま描かされて……。なんかお父さんはそういう『絵を描く』ってことに力を入れてたよね?
会場 でも、お父さんの影響で絵を描くようになったのに反対したのは意外だよね? お父さんは喜んでもいいと思うんだけど。
Clara そう、そこはちょっとずるいですよね。
お父さんは趣味の一環として考えていたみたいで、実際に仕事にするっていうのは出来ないと思ってたんだと思います。
── 趣味の域を越えてる教育をされてる気がしますけど(笑)
今はどうなんですか?
Clara 今も必要最低限しか喋らない。うちの父親はめちゃくちゃ怖いんで。
会場 でも、その時(専門学校に行く決断をした時)にお父さんに対して従順せず反発したっていうのが良かったよね。
Clara 昔から怖かったんで、歯向かうことはしないようにとは思ってたんですけど、20歳の私の勢いは、たぶん誰にも止められなかったと思う。お父さんもなんか「え!?」みたいな感じだったかと。
── 今のClaraさんの雰囲気からは、勢いで走ってる感じが想像ができないです(笑)
── ところで話は変わるんですけど、『シェアアトリエ』が欲しいって話をされてませんでしたっけ? いい時間になったので、その話を最後にして終わりにしましょう。
Clara そうなんですよ。アトリエを去年から借りててたまに行って使うんですけど、一軒家なんで大きすぎて2階は全然使ってなくてもったいないんですよね。
元々「誰かと使えるような場所が欲しいな」と思って探していたんですけど、一緒に使う人がいなかったから結局一人で借りてるんです。だから、そういう意欲のある人がいたらいいなと思ったりしてます。
── そのアトリエはどの辺にあるんですか?
Clara ここから15分くらいかな? 樗谿神社の手前くらいの大工町です。
── そこを一緒に使う人が欲しいなって感じですか? それとも他の場所で?
Clara どうしようかなって今考えているところで。まず、一緒に使って下さるような人がいらっしゃったらいいんですけど、なかなか難しいもんでね。
── ちなみに、どんな物件なんですか?
Clara 家賃4万円で、部屋が5個か6個あって、その内の1部屋が雨漏りしてた部屋で、大家さんが天井を直してくださったみたいなんですけど、それ以来入ってない開かずの部屋になってます。
中庭が少し付いてて、お風呂もあるんですけど、今はガスを止めてます。
── お風呂もあるなら、住居兼アトリエという使い方でもいいわけですよね?
Clara でも冬は本当に寒いらしいです。お風呂もほとんど外のような寒さなんで、頑張ったら入れるけどすごく寒いって言ってました。
窓も雨とか風が吹くとバババババババって割れるんじゃないかと思うぐらいですし。雨にも風にも弱い。
── 大家さん的には、住居として使うのは有りな感じなんですか?
Clara えー、どうなんだろう。大家さんは一人暮らしで隣に住んでるんですよ。ダメとは言わないと思いますけど、でも隣なんであんまりドンチャン騒ぎするような感じだと困るとは思うんですよね。
── それはそうですよね。まず一度物件を見に行ってみたいです(笑)
Clara そうですね、一度見に来てもらいたいです。
── そして、この物件でも他の場所でも「誰かと共同でアトリエを持ちたい!」という方がいれば、是非連絡を頂ければと思います!
そんなところで、今日の公開インタビューは終わりにしようと思います。長時間ありがとうございました!
Clara ありがとうございました!
インタビュー実施日:2016年7月6日
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