尾道のことを「ヒップで、クレイジーで、スイートな街」と語る思想家・みくが伝えたい、たった1つのメッセージ。

2017年5月28日インタビュー, 尾道

どうも、りょうかん(@ryokan_1123)です。

街中が移住者で溢れている全国でも珍しい街・尾道。この街の何が移住者の心を惹き付けてるのか、少しずつ核心に迫るべく実際に移住して来た人にインタビューをしています。

第六弾の今回は、移住者ではないものの11ヶ月間も尾道に滞在している思想家・みくさんにインタビューしてみました。

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みく
1,600円を手にキックボードで大阪から沖縄に向かう旅の途中。
2013年12月に尾道に来て以来、11ヶ月間尾道に滞在中。
現在はチャイサロンドラゴンの手伝いをしながら旅人の価値観をぶち壊し中。

— まず、自己紹介をお願いします。

みくです。肩書きは色々あるんですけど……好きなように思ってください。肩書きなんてどーでもいいわ!っていうね。

— (笑) いつから尾道にいるんでしたっけ?

去年の12月1日からです。というか、移住者じゃないよ。そこのコンセプトは大丈夫?

— 大丈夫です。尾道に魅せられて自ら選び滞在してる人がなぜ尾道を選んだのかが聞きたいので。

はーい。

— 尾道はどうやって来たんでしたっけ?

大阪からキックボードで来ました。一応、目的地は沖縄の竹富島なんですけど、着くのが目的じゃないんで。生涯懸けて旅してもいいし。

99歳ぐらいに竹富島に着いて「いい景色じゃー」って言うて、向こうで死んだらええなぁぐらいに思っとるから。

— 尾道に来る前は何してたんですっけ?

大阪でブラブラしてました。

— 急に思い立ったんですか?

急にというか……。自分がダラダラ生きとることは自分が1番知っとるわけですよ。で、30歳って節目じゃないですか。

それで、30歳になる時に「自分で人生を変えんのやったらここしかないぞ」と思って。

今までやりたいことがあってもやってなかったんですけど、理由付けてやらないんですよ、人間って。そういうのって自分は全部わかってるんですよね、己の心に従って生きてないことを。

30歳になった時に「己の心に従えんかったらお前は死ぬぞ」っていう風に自分に言ったんですよね。

そっから俺はZINE(ジン)を書き始めたんですよ。自分のZINEを。俺は自分のやりたいことが「表現」したりすることやったから、それまでは小説とか書いて出版社に送ったりしとったけど共同出版勧められたりして。「それはちゃうやろ」って思って。

なんで本を出すのに、わざわざ出版社に頼み込んで、頭下げて、編集されて、それで売れた分の数%だけを貰わなあかんねん。こんな奴隷的なふざけた話はないやろと思ってて。

それやったら、自分で書いたやつをホッチキスで留めて本屋さんに置いたったらええんちゃうか。それなら誰でも本書けるやないか、と思って。

それで、自分がやりたいと思ってることは(やり方ってあんまり無いように思ってるけど)、実はハードルさえ下げていったらなんでも出来るんちゃうかと思って。小説家になりたいとか、執筆業で食べていきたいと思うと、出版社に頼み込んでそれで食っていかなあかんと思うけど、実際には自分で書いたやつを世の中に配ったったら執筆業になるわけですからね。それで食っていけるかは別にして。

30歳までは自分のしたいことが出来へんかったから、俺からしたら死んでるんですよね、その30歳までの人生って。なんもやってないから。精神的に死んだ時期もあったし、社会的にも社会に出てるわけじゃないから死んでて。「俺は死んでんなー。死んでんやったら、やりたいことやったらええなー」と思って。

それで自分のやりたいZINEを書き始めて、それを大阪中心に関西近辺の書店さんを回って置いてくれって営業に行って。それを1年ぐらいやったんかな。

旅には直接関係ないんちゃうかと思うけど、そこが俺の人生の変わり目で。「やりたいことをやってやろう」ってのの中に「旅」があっただけなのね。それを思ったのが、去年(2013年)の1月。それで旅に出たのが去年(2013年)の11月で、尾道に着いたのが12月。

— じゃあ僕と同じぐらいですね。僕も約2年前(2012年)の冬頃からなんで。23歳で死ぬって切迫感をリアルに持ち始めたのが。

そこは似てるのかもしれんね。

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— 尾道では今まで何をされてきたんですか?

けっこういろいろしてきたけど……テロリズムですね(笑)

— テロリズム!?

具体的には、うちの店(チャイサロンドラゴン)に入ってきた奴を射殺するってこと(笑)

まあこれは比喩だけどね。要は、一般的な通念とか常識とか社会通念というものをぶち壊すということ。お金ないと生きていけないんじゃないかとか、働かないと生活出来ないんじゃないかとか、どうやって食べていくのか、家はどこにあるのか、みたいなそういうのは壊(く)えられた思想なのね。そういうのの破壊工作を、この基地でずっとしてます。

ここにいる人たちは大概犠牲者です(笑)

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— (笑)

比喩がわかりにくいっすかね? もう少しちゃんと答えた方がいいかな?(笑)

— そのままで大丈夫です! でも本当に多いですよね、みくさんに射殺された人。

俺は極端なことが好きなんですよね。わかりやすいものが。

だから、働きたくないってのが俺の本質やし。旅に出る前はバイトしたりしてたし、実家のたこ焼き屋を手伝ったりしてたけど、それは俺にとっては労働なわけですよ。やりたくないけどやらなあかん、みたいな。そういうのってやっぱり納得出来んくて。「なんでやりたくないことをするために生きなあかんねん」って。

日本って豊かで、お金もモノも溢れてるこの国で、なんで多くの人がしたくないことをし続けないといけないのか。国家として何のために裕福になったんだ、と。

楽をするために文明って発達してきて、みんなが働かなくてもいいようにシステムって構築されてきたはずやのに、なんでみんなこんなに苦しんでんねん。こんなんやったらやってきた意味がないじゃないかと。

— わかります。

多くの人が苦しんでるこの状況をよく見ると、一部の人だけが喜ぶためだけに作り上げられているんだと。それは子どもの時からわかってたし言い続けてきたけど、いつしか俺だけがそんなことをずっと言ってて。

周りの子らはちゃんと就職していくのね。みんなで肩を組んで「あんな大人にはならんよな」「俺らは遊び続けようぜ」って言ってたはずなのに、気づいたら誰もおらん、みたいな。

だから俺は大人になりきらんかったんですよね。けど、俺は絶対に間違ってないと思ったし、みんながそんなに幸せそうにも見えなかったし、みんなに説得力を感じなかった。

あいつらのようになりたいかと言われれば、絶対なりたくないと俺は思った。俺は心に従って生きようと。

この社会は狂っている、異常だ、と思う。

— すごくよくわかります。

これ、りょうかんさんは最初来た時に話したもんね?

— 今年の4月中旬頃ですかね。

この異常な社会で異常な状態にならなあかんのやったら、人間なんて辞めてやれ。俺は狂人でいい。社会に対して宣戦布告や!って言って、俺は働かないって決めた。去年の11月ぐらいにね。

働かんし、家賃も払わへんし、税金も払わへん。この社会システムに乗っからんと生きてやる、と思って。

そういうのを(ほんまはしてもいいと思うけど)みんなが出来んのはわかってるし、この社会の現状じゃしにくいだろうし。でも、実際にそういう人らが増えてくると今の社会システムってぶっ壊せるんですよね。

自分で頑張って働いて稼いで全部処理しないといけないじゃないか、みたいに考えなくてもいいんですよ。

一部の人間がほとんどのお金を持ってて、下に回ってくるお金なんてちょっとしかないわけで。そこでみんながどんだけ頑張ろうが、ちょっとのお金しか回っとらんのやから、そこで金持ちになれるわけがないんですよ。ライフコストだって払えるわけがない。上の奴らが払えっちゅー話なんだよね。

だから、苦しい思いしてまで一生懸命せんでええと。みんな頑張り過ぎなんですよ。一生懸命し過ぎ。

— お金絶対主義みたいなところ、ありますよね。 

お金なんていいんですよ。誰か持っとるから。

みんながそうやって言い出したら、みんな持ってなくなるから、競わなくても良くなる。

— 今、評価経済社会とか話題になってきてますもんね。 

なんすかそれ。

— お金を持っていることが社会的地位が高いという考え方ではなく、みくさんの言うように「人」との関わり合いの中で『あいつは普段こういうことをしてくれてるし、今日ご飯呼ぼうよ』 みたいな形で、人からの評価が価値を持ってくるという考え方が浸透した社会のことなんですけど。
 ※岡田斗司夫さん(@ToshioOkada)が提唱。詳細はこちら

それはそうなんですよね。それはなんでかって言ったら、貨幣って元々紙切れでしかなかった。その貨幣経済というものは、高度経済成長の間はずっと良かった。お金にお金の価値があったんですよね。でも、それが行き過ぎて、お金が本当にただの紙切れになってきたんですよ。

それをみんなわかって、紙切れの魔法の効力が無くなった時に、やっぱり生身の人間というものが出てくるわけですよ。

— 今支持されている考えとしては、現状だと貨幣経済絶対主義だけど、これからは貨幣経済と評価経済がハイブリッドされていくという考えですね。貨幣経済が無くなるわけではない。けど、評価経済も浸透してくる。(もうすでに浸透している)
本来、貨幣の価値って信用価値であって、例えば国が『これに1万円の価値があります』って発行してるものを、使う側が「国がそう言ってるなら」と信用してるから1万円の価値があるわけで。それが個人でも同じことが言えて、「その人の信用そのもの」に価値が付くはずなので、その人が信用されてる・評価されてることに価値が付くのは当たり前ではあるんですよね。貨幣自体が目に見えない「信用」を具現化しただけのものなので。

なるほど。

IMAG0979— 「大人になりきれてない」という部分もよくわかって、僕も最近14歳って自己紹介することがあります(笑)

俺、17歳(笑)

てゆうか、『大人』って何なん?ってことなんですよね。『大人』なんかおらんのですよ。『大人』なんてほんとはいてなくて、それを「社会に順応したり」「社会で上手く生きていくこと」を『大人』って言ってるだけで。

勝田前回登場) 年齢が上がると勝手に大人になると思ってたけど、中身は意外と子どものまんまなんだ、って自分では思うよね。

中身が子どもの人が圧倒的に多いじゃないですか。「あんな大人になりたいな」って思う人は世の中に数人しかいてないですよ。子どもの時なんか、なりたい大人なんておらんかったし。

勝田 なりたくない大人はたくさんいるけど。

あなた達が定義する『大人』が大人なら、別にならんくてもいいと思うからね。

俺は社会的に求められる大人とか人間像みたいなものからは完全に外れよるから。

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— なぜ尾道には約1年も?

尾道が面白くて、人がいい、ってのは絶対言えるんですよね。居たいから居てるっていう至極純粋な話ですよ。

なんで居たいんかって言われたら、この街が成熟しつつあっていろんな人が集まってるから何かしやすい・面白いことが出来そうってのはある。

俺も全国見たわけじゃないから他にもあるんかもしれんけど、俺が知ってる中で今1番ホットで、『ヒップで、クレイジーで、スイートな街』が尾道。これ、三大要素って呼んでるんですけど。

ヒップで、クレイジーで、スイートというのが、人・街の魅力なんですよね。

ヒップというのが、かっこ良さで。coolみたいなことですね。やり方がかっこ良かったり。

クレイジーってのが、頭オカしいってことなんですけど。単純にそういうことじゃなくて、面白さ・斬新さ・奇抜さ。今まで前例のないようなことをしてくれる。

スイートはね、実は1番大事やと思っとるんですけど、優しさとかホスピタリティ。思いやりがあるとか人間的な人格的な良さですよね。そういうものがないと。

東京とかヒップでクレイジーな部分はいっぱいあるけど、スイートさが全くないからあの街には住みたくないんですよ。居心地が悪い。スイートさがないと人の住む環境にならんのですよ。

ヒップでクレイジーな街や文化はいっぱいあるけど、そこにスイートさ、人間関係の温かさとか顔の見える関係とかがあるかどうかというのが1つの重要なポイントで、尾道にはそういう人が多いしコミュニティ自体がそういう特性を持ってる。

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— 最後に、個人的に好きな『衣食住』の話を聞かせてもらってもいいですか?

あぁ、あの余ってるよって話ね(笑)

衣食住は心配しなくてもいいですね。衣食住は全部世の中に余ってるんですよ。

例えば『食』は、毎年1,800万トンの食料廃棄があって、そんだけあったらみんな働かんで生きていけるんじゃないのーっていうね。実際に、旅を始めた時には1,600円しかなかったけど、尾道に来る2週間の間にひもじい思いをしたことはなかったです。

お金なんてなくても、みんな食いもんなんて持ってるんですよね。冷蔵庫の中とか絶対何か余ってるじゃないですか。それを食っとったらええわけですよ。

— (笑)

『衣』は、服なんかみんな腐るほど持っとるっしょ。一生分の服を持っとるでしょ。もう買わんでええでしょ。もろたらええんですよ。捨てるやつをね。

これから服は一生買わなくていい、みんな。

— (笑)

で、『住』は、俺こっち(尾道)に来てから家賃一回も払ったことないんです。

お金を払ったことはあるけど、家賃ではないね。住まわせてもらった代わりにいろいろさせてもらってたらお金をくれて、それを全部返したって感じだったね。

尾道おったらみんな知ってますけど、空き家がそこらにあるじゃないですか。全国的に家は空いてるし。それに友達の家でも行ったら大体部屋が空いてる。一人暮らしの部屋だって、スペースは空いてるしね。そこに寝たらええんですよ。

俺は途中、教会にも泊まってきたし、24時間スーパーのトイレでも寝たし、寝れるとこはとりあえず寝た。寝れるとこなんていっぱいある。屋根と壁さえあれば寝れるんですよね。

旅経験者一同 そうそうそう。

なので、衣食住なんか、どうしようかと思わなくてもいい。衣食住が確保出来ないことなんてないと。

確保出来へんのは、友達とかおらんかったら出来へんわけですよ。ホームレスの人とかそうですよ。人付き合いがないから、食べるものがない、ずっと同じ服を着てる、ベンチで寝なあかん、ってなるんです。

人付き合いさえあったら、友達とか心配してくれるし、友達じゃなくても道で「食べ物ないんです。お金ないんです」って言ったら食べもんくれるし。

衣食住に関しては心配しなくてもいいと。そこでみんな悩んでるんですよね。働いて自分で確保しなくちゃいけないみたいな。お金稼いで、衣食住に自分でお金を払って賄ってるんですけど、無駄なんですよ、そこのワンクッションが。

わざわざ労働をしに行って、お金貰って、それを食べ物や家賃に換えるんですよね。その行程全部無駄!と思って。

いらんもんいっぱいあるから、貰って、そのお返しになんかしたらそれで済むんですよね。

(ボクシングの)ワンツーみたいな。ジャブ、ストレートみたいな。間に「クリンチ、クリンチ、クリンチ」みたいなのが多いから。打ち合え、打ち合えって。小競り合いが多いんよ(笑)

勝田 クリンチだけの会社とか世の中存在してるもんね(笑)

何をしとんねん、みたいなね。 試合になってないですよね。

まあ例えが合っとるか知らんけど(笑)

だから、無駄な行程がすごい多い。それは世の中にとっての無駄でもあるけど、個人にとっての無駄でもあるんですよね。

一々それをお金に換算して自分で買いに行ったりしてたら、その時間が全て奪われてるわけだから。それって全部取り返しがつかんわけですよね。その間を省いた方がよっぽどやりたいこと出来るし。

だからもう衣食住は心配しなくて良くて、次の段階、自分のやりたいこととか、どういうライフスタイルを送りたいかとか、そういうことをまず考えないといけない。

考えないといけないというか、もうそっからスタートしていいんですよ。スタートラインを手前にしすぎ。もっと先。あなた達、そんなとこから始める人じゃない。

スポーツで言うと、ルールとか全部知ってんのに一から勉強してるみたいな。キャッチボールぐらい出来る人がビデオ見てるみたいな。合ってんのかな、ちょっとわからんけど(笑)

みんなわかってるんだろうけど……、それもね、社会が悪いんですけどね、そう思わせるから。

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— 日本人はその傾向強いですよね。まず学校で基礎を…。会社に入って、3年修行して…。みたいなね。うっせー!!って(笑)

その3年は二度と返ってこないんだよ、って。

— 専門学校行って…とか。やっちゃった方が早いだろ!って。

ほんとにそれは全部繋がってて、ZINEとかも一緒で。出版社とかから出してもらったら遅いから自分で書いて出す、みたいな。そういう機動力があっていいと思うんですよね。

みんなが機動力出えへんっていうのは、”心配”とか”不安”とかやから。

衣食住に関しては世の中に余剰があるから、それを活用すれば、俺みたいな生活は出来なくとも、労働時間を減らして収入を減らして自分の身の丈で生活していったら時間が余る。その余った時間を自分に使ってください。それはあなたの財産ですからと言いたい。

お金は無くなっていくし、頑張った分だけ戻ってくるものではない。自分だけは自分の時間を使いたいように使えるから、そっちの財産を大切にしてくれと。

勝田 Time is LIFE, Time is not money.

Time is LIFE! 「Time is Money」じゃない。

Time is moneyというのは、すごい時間を軽視した考え方で、そんな安いもんじゃないと。お金で時間は買われへんのやと。

一回失った時間というのは永久に失われるんやから、時間こそ最大の財産やと思えと。

りょうかんさんもそうだと思うけど、自分には時間がないと思ってるからいろいろ出来るじゃないですか。みんな時間があると思っとるから、こうやって労働をずっとしとるんですよね、アホな顔して。

切迫感が無さ過ぎるよね、自分の時間を奪われているという。

殺されてるんだよということをいつも言ってて。「緩やかなサツジン」と言うんですけど。じわじわ時間を奪われていたらみんなわからんのですよ。

自分の人生が終わる時に「自分の人生なんやったんやろ」「何もやりたいこと出来へんかった」って言うんですけど、そんじゃ遅いんですよ!

今、現在進行形で奪われてるから、そこをちゃんと認識しないと、誰かの責任にしても無理やし。

だから衣食住を考えないっていう立ち位置に立たないと、時間を奪われ続けるから。そっからスタートせなあかんのですよね。

以上!

— (笑) ありがとうございました!

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2017年5月28日インタビュー, 尾道

Posted by りょうかん