インタビュー - 鳥取特集 PR

男らしくありたい。公務員っぽくない鳥取の県庁職員・林拓磨の独占インタビュー!

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どうも、りょうかん(@ryokan_1123)です。

新年一発目に、鳥取の魅力的な人へのインタビュー企画第1弾をお届けします!

約2時間にわたる超ロングインタビュー。年末年始で一気に書き起こしました。

かなり長い記事ですが、飽きない内容です。是非最後まで読んでみてください!

【注意】
 企業やイベント、人物名など、1つずつの説明は膨大になるので省略しております。

 リンクを貼っているので、随時確認してください。よろしくお願いします。

林 拓磨(はやし たくま)
鳥取生まれ八頭郡育ち
鳥取県職員 一級建築士・一級建築施工管理技師
リノベーションスクール@鳥取の超重要人物
巷では「スーパー公務員」「鳥取リノベ界の特攻隊長」と呼ばれる
この写真は「ろくでなしBLUES」をイメージ
詳しくはこちら → 林 拓磨 / リノベーションスクールラインアップ

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インタビュー実施日:2014年12月28日

妻のすすめで公務員に

— まず、自己紹介をお願いします。

林拓磨(はやしたくま)、34歳。鳥取県庁に建築技術屋として勤めています。

— いつから県庁に勤めてるんですか?

平成20年の4月に入庁したんかな。違うかもしれんけど、そのくらい(笑)

— その前は何をされてたんですか?

元々は地元の建設会社におって、建設の現場監督をしとった。
お施主さんが喜んでくれるのも嬉しいし、達成感があって、すげぇやりがいもあったから、俺は続けたかったんだけど。

— それがなぜ県庁に?

それは完全に妻のすすめ。(笑)
建築の現場監督って朝早くて夜遅くてその上給料安いから、このままじゃ子どもも作れないね〜みたいな話をしていたら、「これ受けて」って言われて。

でも、公務員って当時はいいイメージなくてね(笑)
決められたことやって、5時に帰って、良い給料もらって、ってそういうイメージしかなくて。

クライアントになった時とか「この人たち頭めっちゃ良いんだろうな」って尊敬する部分もあったけど、なんだかなーって感じで。

だから凄い抵抗したの。
試験の日も雨が降ってたから「行きたくない!」って、無理やり行かない理由を探したりして。(笑)

でも、連れて行かれて。

— それで良く受かりましたよね?

勉強も全然してなかったんだけど、その時にちょうど一級建築士の勉強してたから、一般教養はダメダメだけど建築の知識に関しては生まれて初めて勉強をちゃんとしている時だったからね。
一般教養は本当にダメだったと思うんだけど、何でかわからんけど一次試験を通してくれて。

それから何回か面接や集団討論みたいなのがあったんだけど、気負いがなかったからか、緊張せずトントントンと通っちゃって。

でも逆に、最終面接の時だけはめっちゃ緊張して、何を言ったか全く覚えてない(笑)
期待もしてなかったのに「俺、こんな堅い世界に入っちゃうかもしれないんだ」って思ったら、緊張しちゃって。

— 実際に嫌いだった公務員になってみてどうでしたか?

入ってみたらね、尊敬できる先輩もいっぱいいたりとか、みんな凄いちゃんとしてた(笑)

— (笑)

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高校時代に停学留年

— 林さんと言えば「悪そな奴はだいたい友達」「高校時代に停学留年」という言葉が気になるキーワードとしてあるんですが、どんな高校生だったんですか?

高校時代の停学や留年は…、まあ事実。

詳しくは言わないけど色々、ヤンチャした(笑)

でも、悪悪したヤンキーって感じではなくて、やりたいことを我慢せずやってたりとか、大人を舐めてたり、そんな感じだったかな。
「この補習に来ないともうダメだぞ」って当時の先生に言われた補習もサボったら、本当に落としやがって(笑)

— まじっすか? 今の感じからは想像出来ない!

そう?
まあそのまま(学校を)辞めようと思ったんだけど、当時付き合っとった今の奥さんが「辞めるな」って言うから辞めずに残って。

でも、当時はプライドが高かったから1個下の奴らと一緒なのがすっごい嫌で。だから最初は全然(心を)開いてなくて。
けど、「林さん、短ラン持ってないっすか? 短ランくださいよ」って言ってくる変な奴が1人おって。そんな感じで段々可愛い奴らが増えていって、最終的にはみんな仲良くなった感じなんだけど。

— それが今や…。

いや、でも、基本的には変わってないと思うよ?

— やりたいことをやってる、という面では。

う〜ん、うん…、うん。制約の中でな。

やっぱり林さんは僕のイメージしている『公務員』とは全然違う感じがしますね。

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リノベーションスクール開催の経緯を

— 次にリノベーションスクール(以下、RS)のことについてお聞きしたいんですけど、まず『リノベーションスクール』って林さん的にはどんなものですか?

1番難しい質問だな(笑)
ん〜……。。。

— じゃあ鳥取でRSを開催することになった経緯を、軽く説明していただけますか?

軽く!?長いよ?(笑)
……、まず最初は、ブルースタジオ大島芳彦(おおしまよしひこ)さんとの出会いだね。

— それはどういうきっかけで?

さっきも言ったように元々現場監督しとったけど、カッコいい建築とかデザインとか、興味がないわけじゃないけど、あんまり知らなくて。
なんだけど、県庁の堀さんという方に出会って、モノの見方が変わったというか、建築とかデザインに対する興味が湧いて。

— 堀さんは何者なんですか?

堀さんは建築屋の先輩なんだけど、人脈がすごいし、オシャレでファッションとかも好きだし、建築とかデザインとかも好きで。
で、色々と教えてもらったのがキッカケになって。それが1つの大きな分岐点かな。

— なるほど。

Casa BRUTUS』とか読み始めたりして。
そうすると、自分にはセンスはないんだけど、モノの見方は備わってくるというか。
自分がどういったものが好きかとか、カッコいいかどうかとか、わかるようになってきて。

あとは、山崎亮さんの「コミュニティデザイン」を読んだりして、そういった活動にも興味が出てきた時で。

↓↓ 山崎亮 著書 ↓↓

そんな時に、東京出張に行く飛行機の中で見てたテレビの番組でブルースタジオの大島さんが「賃貸住宅の家賃を倍にする男」みたいな形で出てて。それに衝撃を受けて。
オーナーさんのことを含めてそこでしか出来ないことをやってるし、何より越境しとって。

— 越境…?

越境って言うのは、建築不動産業界って縦割りなんだが。設計はこの人、施工はこの会社、出来たら不動産屋任せ、って感じで。
それが大島さんは、ブランディングして、ディレクションして、売り出して管理するまで関わっとって。

こうやって越境してやってる人って、見たことがなくて。すげぇ!って。
で、そういう人を鳥取に呼びたいなと思ったのが最初の動機。

でも、強烈に印象には残ってたけど、チャンスがなくて。

だけど、次の年ぐらいにある関係団体に講演会のネタを提案できる機会があって、「ブルースタジオの大島さん呼びたいです!」って言ったのが最初の出会い。2012年の11月だったかな。

— そうなんですね。

その時に、大島さんが来てくださるのに、カタい感じにはしたくなくて。
堀さんの勧めもあってチラシも、チラシってよりフライヤーみたいなのをカッコよく作ったり、お店にちゃんと配ったりして
民間なら普通なのかもしれんけど、行政だと普段そんなことやらないからさ。

でも、そういうやり方をしたら、普段のやり方だと来ないような街のクリエイティブな人が来てくれたりして。

あと、行政のする講演会の会場って、白い垂れ幕みたいなのに文字を書いてみたいな…、それもちょっとなって思ってさ。だからそれも作ってもらって。

— もしかしてRSの時の…?

そうそう、それそれ。

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あれも、冒険だったんだけどね。上司に怒られるんじゃないかってのもあったけど、ちょっと遊んでください!ってお願いして。

それと、その時にトットリノススメの期間だったから夜にブルースタジオの大島さんと工作社本間公(ほんまあきら)さんのトークイベントをやらせてもらって。

そんな感じで、自分なりに色々と工夫を盛り込んでみたのね。

— 大島さんと本間さんのトーク!? めっちゃ聞いてみたかった…。

面白かったよ!ほとんど旅の話だったけど(笑)

あとね、そのトークの後に、同じくトットリノススメの企画でLe cochon d’Or(ル・コションドール)の倉益くんがイエノミダイニングっていう本気の家飲みみたいなイベントをしてて。
倉益くん家も倉庫みたいな所をリノベーションしててカッコいいんだけど、そこに京都のイルピアットというイタリアンのシェフの水谷さんという方を呼んどって、そのイベントに大島さんも連れて行ったのね。
そこで大島さんと街のキーマンが繋がったんだ。工作社の本間さんとか、コモン建築事務所の高藤さんとか、hospitail project(ホスピテイル・プロジェクト)の赤井さんとか。で、凄い盛り上がって。

……、で、何の話だったっけ?(笑)

— RSを鳥取で開催することになった経緯です(笑)

あぁ。
その講演会の前日が北九州の三木屋のOPENの日だったから、講演会の中でも三木屋の話がちょこっとあって。RSの話もあったんかもしれんけど、その時はあんまり印象に残ってなくて。

で、翌朝に大島さんを空港まで車で送って行く時に、RSの取り組みの話を改めて聞いて「凄いっすね、それ!」ってなって、大島さんが「予算次第では鳥取でも出来るかもね」って言われたのが最初かな。

— そのタイミングだったんですね。

それで、その翌日に大島さんがFacebookにこんな投稿をしてくれとって。読んでみて。

 

— めっちゃ嬉しいですね、これ!

鳥取って一般の若者や統計データとかのフィルターを通して見ると結構ダメな閉塞感に満ちた街だと思うんだけど、一方で街中に出てみると、古びたビルの2階にカッコいいユーズド家具のお店があってそこにいる店主が人生を語ってくれたりとか、魅力的な店主のかっこいいアパレルショップやうまいカフェや食堂があったりとか、見ていくと面白いものがたくさんあるのね。

そこにギャップが凄いあるなって思ってて。

俺のツレもそうだけど、若い子って週末になると郊外のショッピングセンターや県外に出掛けていくわけじゃんか。「鳥取つまんな〜い。何もな〜い」って言って。

そのギャップを埋めていきたい!ってほどじゃないけど、そこがもう少し近づいたりしてもらえると、鳥取がもっと楽しくなるんじゃないのって思ってたの。
大それた話じゃなくて、地味なんだけど小さな積み重ねをジワジワ広げていくと楽しくなるんじゃないかと。

それを、さっきの大島さんの投稿で「それでいいぜ!それで行け!」って言ってもらえたような気がして、凄い勇気付けられたんだよね。

だけどな、そんなトントン拍子にいくわけがなくて(笑)

— やっぱりそうなんですね(笑)

当時やっとった仕事は、まちづくりとかリノベーションのリの字もないような全然関係ない仕事をしてて。
自分の中では超盛り上がった状態で朝を迎えて会社に行くんだけど、やらんでもいいことをやってるわけだから、現実に直面すんだな(笑)
「出来るわけねーじゃん」って。

— そこからどうやって…?

そこからがまた長いんだ(笑)
大丈夫?長くても。

— どうぞ、どうぞ(笑)

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一気に加速する繋がりの流れ

やりたい!ってのはその時からずっとあって、上司にも地味に言い続けてたんだけど、出来るわけない土壌だから「出来ん」って言われて。でも「やりたいっす」って言い続けて。
「しつこいお前!」みたいなことを上司に言われるぐらい(笑)

— (笑)

で、次の動きとしては…、2013年の春ぐらいだと思うんだけど、俺の大好きなCasa BRUTUSを読んどったら……、最近は大好きでもないんだけど(笑)
そしたら、木賃デベロップメントの記事が載っとって。

大島さんもそうだけど、この人たちも『設計・施工・不動産』の異なる専門の3人のチームで建築不動産の垣根を越えてやっとんさって、古い木賃アパートのリノベーションをして価値を再構築して、みたいなのを自分たちがリスクを負うことで大家さんの負担ゼロでやるスキームを作っとんさってな。

— 凄いですね。

その仕組みを知って、すげぇ!って思って。

リノベーションの話って、鳥取でも進めばいいなと思っとったけど、結局大家さんの負担が大きいじゃんか。初期投資が大きいから進まんみたいなとこがあって。
それってこれで解決出来るかも!って思って、ツイートしたんだわ。

そしたら、さっきの設計を担当してるスタジオA建築設計事務所内山章(うちやまあきら)さんという方が「仕組み教えるよ」って反応してくれて、それからメッセージのやり取りしたりしたような出来事があって。
雑誌とかに出てる人がツイート返してくれるとか、「うわぁ、すげぇ!」とか思ったんだけど(笑)

それから秋ぐらいに、HEAD研究会のシンポジウムに参加したんだわ。
で、そのアフターパーティに行ったら、RSやCasa BRUTUSに出てくるような人がたくさんいて、「すげぇ!!!!スターが超いる!!!!」って思ってたけど……、話に行けるわけでもなく(笑)

そしたら、会場にその内山章さんがいらっしゃって。「あっ…内山さん…僕、林って言うんですけど…」って言ったら「おぉーー!!!お前、来たのかよ!!」ってわかってくれて。

さらに俺が他の人と話せないみたいなことを言ったら「よし、わかった。俺が全員紹介してやる!」って言って、HOME’S総研の島原万丈さんとか、株式会社スピーク吉里裕也さんとか、メゾン青樹青木純さんとか、みんなに「こいつ鳥取でRSやりたいって言ってて、わざわざ来たんですよ」って紹介してくれて。
で、その場には大島さんはいなかったんだけど、色々話をしてたら「鳥取ってトットリノススメとかやってて盛り上がってるんでしょ?」って言うわけ。「なんで知ってるんですか?」って聞いたら「だって俺ら散々聞かされたから、大島さんに」って言われて。
大島さんが、去年のあの日のことをたくさん言ってくれてて。だから凄い話が通じるというか。

そしたら青木純さんが「とりあえず1回行かなきゃな。洋平、行こうぜ!」って言い出して、本間さんを紹介したらすぐさま本間さんが二人をナンパして。本当に1ヶ月後ぐらいのトットリノススメにらいおん建築事務所嶋田洋平さんと青木純さんが来ることになって、その時に本間さんが北九州のRSのユニットマスターに招聘されることになったんだけど。

↓↓ 嶋田洋平 著書 ↓↓

↓↓ 青木純 著書 ↓↓

そんな感じで繋がっていったのかな。

— なんか一気に繋がっていった感じですね。

それで盛り上げられて、「この想いを無駄にしちゃいかん」と思って、帰りの飛行機の中とか家に帰って深夜とかに上司へのプレゼンを作って、翌朝プレゼンするんだけど……「わかった、わかった。お前の熱い想いはわかったけど、現実があるでしょ?」と言われて、鳥取に戻ってきてからはくすぶってた時期もあって。

行政って予算なんだけど、ちょうど予算編成の時期に、新しい事業を提案できるチャンスがあって、「林がいっつも言っとるやつがあるな」みたいな形でその時に初めて挙げさせてもらっただが。

でも、結局それも結果として実らなくて。

— そうなんですか!?

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それもそのはずで、俺は街の人とはいっぱい繋がりはあったし、HEAD研究会の人たちとも繋がりが出来始めてたけど、それじゃ弱くて。

それに、まちづくりって基本的には住民に近い市町村さんがすべきって考え方があって、県はその後押しみたいな位置づけになっとるんだけど、当時はまだ市町村さんとの繋がりもないし、「市町村さんはなんて言ってるの?」って聞かれて「まだ話はしてないです」って言うしかなくて。

そんなこんなでダメになっちゃったりして。

で、そのくらいのタイミングで清水義次さんの講演会が和歌山であったから聞きに行ったんだけど、和歌山で衝撃を受けたのが、俺は今まで1人で動いとったんだけど、和歌山は県と市の職員がすげぇ仲良くて。
聞いたら有志でお金を出し合って街中の空き家を1個借りて、そこをミーティングやイベントスペースとして使っとるらしくて

清水義次 著書

— へー。いいですね!

一般的に県と市町村って業務の上でやり取りはあってもそこまでプライベートとか含めて付き合うことはそうそうないから、それにすげぇ衝撃受けて。 仕事で連携したりすることはあっても、本当の意味での連携って難しいんだけど、和歌山はそれが凄い上手くいってて。

その時に、「帰ったら、市町村の職員さんとお酒を飲み交わすぐらい仲良くなるぞ!」と思ったりして、凄い刺激を受けたのね。

— 最高じゃないっすか!

あとね、2013年の年末にHEAD研究会の活動で大島さんたちが岡山の西粟倉に来られてて、「西粟倉に来なよ」って連絡が来て行ったんだけど、その時(だと思うんだけど)に『リノベーションシンポジウム』の話があって。
シンポジウム自体は「これからは地方に可能性がある」っていうHEAD研究会の動きなのね。

で、そのシンポジウムで気運を盛り上げるみたいな方法もあるよね、っていう話をして、もし広報周知とか会場代とかの手当てが出来るんだったら、俺らが手弁当で行くってことも可能性としてあり得るぞ!って。

— すげぇ!(笑)

それでまた俺も盛り上がって、年が明けてから、いつもの上司に話をしたら「ホントに?そんなに凄い人たちなんでしょ?」って言われて。
でも、俺も金がないし、県も予算がないし、市との繋がりも当時まだなくて。

だけど、色々あって俺も所属してる建築士会の協力が急きょ得られることになって、現実味を帯びてきたから、上司に頼んで、一緒に市に話をしに行ってもらったんだ。

大島さんが主となってHEAD研究会のイベントをするとなったら、当然にもともと縁のあった鳥取市が題材になるんだけど、話したようにまちづくりは市町村さんが主体だからそこの理解は必ず得ないといけなかったのね。

そしたら、ありがたいことに当時の市の部長さんが理解があってさ。

そこから中心市街地活性化協議会(以下、中活協)さんも仲間に加わって、市と県と建築士会と中活協の4者で協議して、急ピッチで準備してやった感じだね。

— 本当に急ピッチだったんですね!(※ 2ヶ月後の2014年3月1日に実施)

それで、中心になって動いてくださってた市役所の谷口智章(たにぐちともあき)さんがシンポジウムの最後にマイクを持って「RS開催に向けて頑張ります!」と言っちゃって。

谷口さんは後にRS@北九州#11の公務員リノベーションコースのライブアクターに選ばれる

谷口さんは真面目な人だから、俺みたいな奴は嫌だったと思うけど、当時の俺は市がRS開催に向けて動き出すことが隠れた目的でもあったから、「きたーー!!」って思ったよね。

それに、やっていく過程で谷口さんは大先輩ではあるけど最高のパートナーにもなってきて、それを見ていた周りの人から「県と市が、本当の意味でここまで連携してやっとるのを初めて見た」って言ってくれたりもしてね。

— 凄いですね。そこからスクールまではスムーズだったんですか?

色々とあったけどね(笑)
でも予算が付いたらあとは走るだけだったから。まあシンポジウムのおかげだね。

— 僕は熱海にいてシンポジウムに行けなかったんですけど、インターン先(NPO法人atamista)の市来広一郎(いちきこういちろう)代表が参加してて、熱海に帰って来てから「鳥取良かった!」って絶賛してて。

本当に良かったよ。
何回も泣いてるもん、俺。(笑)

本間さんがシンポジウムの後にブログで「仕事で感極まって泣く公務員を僕は他に知らない」って書いてくれてて。

本間さんのブログ

— 確かにそんなアツい公務員はなかなかいないですよ!

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男らしくありたいというか、男でありたい。

— 今後の、次の展開としては何かありますか?
現状として、鳥取家守舎が立ち上がろうとしてますが。

次のことな……。
次のことを明確に語れる心境になってないけど…、とりあえずRSは続けていかんとダメだね。
でもそれは、市がやる気になられてるからもう俺が出しゃばる必要はない。

県の方もバックアップというのはこれからも必要なんだけど、来年度たぶん俺は異動だし県庁の中で仲間作りをしたり後輩を引っ張り込んだりもしてる。

続かんと意味ないからね。
「林君がいなくなったら終わっちゃったね」ってのが1番意味ないから、そうならないように注意は払っとる。

— それが1番つまんないですもんね。

あとは、家守舎もそうだし、りょうかんのもそうだし、個別の案件については、形になるようにとにかく一緒になってやっていきたいって感じかな…。

まあずっとそうだけど、自分の役割を果たしたい。

こんなことを言うと怒られそうだけど……、まちづくりとかRSの動きをずっとやってきたけど、別に俺はそれがやりたかったわけじゃなくて、その時々に与えられた仕事や自分に与えられた役目だなと思ったことを全うしていきたいという所があって。
これから異動して違うことをやると思うんだけど、そしたらそれを一生懸命やりたいというか。そういう人間でありたい。

だぶん「自分がこうしたい!」っていうより「求められた自分の役割を全うしたい」ってタイプなんだと思う。
前の職場の時もそうだったけど、『人のためにやってる』方が気持ちよくて。快感で。(笑)

男らしくありたいというかさ、男でありたい。……、と言いつつ、女々しいけど。(笑)
しょっちゅう泣くし、失敗もするし、ダサいけど、人を裏切りたくないし、自分の好きな人を守りたいし、自分の好きなことのためにやりたいし。

その辺が芯かもしれん。話しながら思いついたけど。

— 男でありたい!カッコいいな〜。

でもね、本当に出会った人が良かった。生かされとるって感じ。出会った人に突き動かされてるから。

最初に「RSとは?」みたいな質問あったけど、そこじゃないかな?

やってる人たちがすごいんだが。ユニットマスター(講師の方)も含めて。
あのシステムを、思い入れも無しでどっかでポッとやっても上手くいかない。

— 確かに、僕もヒッチハイクの際にRSの説明をしてて、途中から「これじゃちゃんと伝わってないな〜」って思ってくる時があって。
「実際に来てください!」としか言いようがなくなってくるんですよね……、仕組みももちろん良いんですけど、結局のところ『あの場の熱量』なんですかね。

合い言葉は『事業収支から目を背けるな』、アイデアコンペではなく具体的な提案が出来るし実現に向けて進んでいくんですよ、という説明は出来るし、実際そうなんだけど、それだけじゃ表わせられないよね。

— そうなんです、薄っぺらいというか。

鳥取の場合は3日間参加者全員が本気でコミットするけぇ、受講生は最終日に泣くし、今回は不動産オーナーの方も心揺さぶられてたし、『熱』だでな。
関わった人が何らかの熱を持つという…、感じなんだけど、それって俺ら同士なら「だよね〜」ってなるけど、他の人には伝えるのが難しいんだよね。

なんか……、『男塾』って感じだよな(笑)

— 心は熱く、でも頭は現実の数字を追って冷静に、みたいな。

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— 先日、熱海に行った際に市来さんから「鳥取は面白い人もいっぱいいるし、鳥取はやりやすいよね」って言われたんですよ。

そう、それ聞いて、俺らは閉塞感の塊みたいなコンプレックスを抱えてるのに、って笑えた。(笑)

— 僕は嬉しかったですね。まちづくりを実践してきている人(市来さん)の客観的な目で鳥取を見た時に、「凄いいいじゃん!いい場所じゃん!」って言ってくれるのは本当に嬉しいことでした。

だけど、日常的な盛り上がりはまだ全然ないけぇ、そこだな。変えていきたいな

— 毎日楽しい街にしたいですね!

なんかさっき言った通りじゃない?
一般の人が知っとる鳥取と、俺らが知っとる鳥取と、ギャップが凄いあるから。そこだね。
だから、仲間を作っていきたい。

— 僕も本当にそう思ってて、みんなで楽しみながらやるしかないな、ってところですね。

なんかやりたいなとか関わりたいなって思ってる人はいて、その人たちが関われたりやれるようなフィールドを作っていきたいよな。やりたい人がやれる環境を。

— そうですね!

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公務員リノベーションコース

— 最後に。2月12日から始まる第8回リノベーションスクール@北九州公務員リノベーションコースの講師の1人として参戦すると聞いているんですが、公務員リノベーションコースって何をするんですか?

よくわからん(笑)

だって、いきなり嶋田洋平さんから電話があって「林さん、喋りませんか?」って。
Facebookでおなじみのユニットマスター狩りにあった感じ。
「いやいや、僕は普通の公務員ですよ」って言ったら「やってきたことを語ってくれればいいから。断ったらダメです」って。(笑)

けど、何やるんかよくわかってない。

経験談を語ったりとか、実践的なカリキュラムを組まれているらしいけど。
その4日間で、自分の地域に帰ってどういうプロセスで何をやるのかを考えてプレゼンする形みたい。

— 公務員の立場で自分のやりたいことを実現化するためにどうすればいいのかという行動プランを実際に作る感じになるんですかね。

だな。
公の場ではお互い遠慮する部分も出てくるから、完全にクローズな場でやるらしいよ。
まあ要は越境してやろうよ、って話しか出来ないと思うけどね。大島さんや嶋田さんみたいに。

あとは実際に来て、あの熱を感じてほしいな。

— 公務員リノベーションコース、頑張ってください!
本日は、ありがとうございました!

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第8回 リノベーションスクール@北九州
《公務員リノベーションコース》

会場:北九州市小倉北区魚町三丁目3番20号 中屋ビル内
日程:[Aコース]2日間 …… 2015年2月12日(木) ~ 13(金)
   [Bコース]4日間 …… 2015年2月12日(木) ~ 15(日)
受講料:無料 ※ただし、副教材等費などが必要
募集人数:20名程度
募集期間:2014年12月5日(金) ~ 2015年1月12日(月)
※応募者多数の場合、主催者側で厳正な審査で選考します
申込リンク公務員リノベーションコース受講申込
(受付は終了しました)

リノベーションスクールについて詳しく知りたい方は嶋田洋平さんの著書「ぼくらのリノベーションまちづくり」がオススメです。

《番外編》

良寛 リノベーションスクールとかやってると色々と知らないところから声をかけられたりしませんか?

拓磨 かけられる(笑)
でも、飲み会に来るか来ないかで判断する部分もある。

良寛 飲み会って、大事ですよね。林さんは基本的に寝ちゃいますけど(笑)

拓磨 あと、色々と話をされた時に、目的が明確じゃない人には「それって面白いんですか?」って聞くようにしてる。(笑)
そこで「面白いですよ!」って言える人かどうかでスクリーニングするようにして。

良寛 面白いか面白くないかってかなり大きなポイントですよね。

拓磨 行政マンって、そこをすっ飛ばすしちゃう人も多いけぇな。
体は1つしかないし時間もないから、面白いって言える人と一緒にやらなきゃ楽しくない

良寛 人は楽しかったら行動しますからね。

拓磨 RSの動きも、仕事で出来るなんて思ってなかったから。
プライベートな活動として始めたし。じゃないと続かんよね。

良寛 その意味で、尾道は本当に良くて。楽しいからやろうぜ!って感じだったので(笑)
それで、楽しいからみんなもやろうぜ!って巻き込まれていって。あの雰囲気を作りたいな。

拓磨 良かったね。そこを経験したってのはデカいね。

良寛 熱海は熱海で楽しかったんですよ。関わってくださってた人も良くしてくれて、今でも帰ったらご飯に連れて行ってくれますし。
で、熱海の場合は、まちづくりの現実を見させてもらえたってのが大きくて。
熱海は現実で、尾道は理想で、両方見れたのが凄い大きいです。
正直言えば、atamistaの理念には凄く共感していたんですが、それが正しいのか、それが良いのか、よくわからないまま関わってる部分があって。
でもその経験があった上で尾道を見たから、ここが理想だって思えたし、自分はこんな人たちがいるこんな街に居たいって思えたので。何より超楽しかったですし(笑)
だからこそ、どこか他の街に行ってもあんな雰囲気を作りたい!って想いを持てたのもあるので、流れとしては良かったな、と。結果的に鳥取にも戻る形になりましたしね。

拓磨 別に尾道じゃなくてもいいんだよな。鳥取じゃなくても。
鳥取という「地」にポテンシャルを感じてるわけじゃなくて、「人」なんだよな。

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拓磨 りょうかんのブログでさ、「泣かない」みたいな話があったじゃんか。
俺は今回RSでは泣かなくて、シンポジウムの時も実際は泣いてなくて。その道中ではたくさん泣いてるんだけど(笑)
あのブログを読んで、何かわかるな〜って思った。

良寛 僕の場合は、次を見ちゃうんですよね。
RSで言えば、提案がゴールじゃない。実現した時は泣くかもしれないですけど……、いや、泣かない気がしますね(笑)

拓磨 俺もそう思うよ。次が見えると泣けないんだよね。

良寛 頑張っている最中とかには泣ける時もあるんですよ。
青木純さんがRSの公開プレゼンの時にコメントしてくださった時は、まじで泣きそうになりましたし(笑)
ただそれは、今まで見てくれてた人に背中を押してもらえた感じがしたからというか。だから純さんの話を聞いたときは、ヤベッってなったし、今でもなりそうになるんですけど。
逆に清水さんのコメントの時とかは、気が引き締まったんですよね。こっからだな、って冷静になって。

拓磨 やっちゃえばいいんだよ。まだ失敗しても若いから。
俺ね、実はこの職に固執してなくて。いつでも辞めてやる!って心の奥底では思ってて。本当に辞めろって言われたら嫌だからあんまり言わんけど(笑)
1年前ぐらいにちょっと叩かれて落ち込んどった時期があったんだけど、ずっと寄り添ってくれてる奥さんと話してたら「別に辞めたらいいが。手に職はあるだけぇ」って言われて。

良寛 あんなに薦めてきたのに(笑)

拓磨 そこで吹っ切れて。今はそう思ってる。

良寛 そのくらいがいいですよね。いつ辞めてもいいっていう覚悟があれば。

拓磨 まあ別に辞めんけどな(笑)

インタビュー実施日:2014年12月28日

 

ABOUT ME
りょうかん
1990年11月 鳥取市生まれ / ブロガー兼WEBライター / 鳥取と熱海の二拠点生活中 / ✍毎日noteを書いてます / Amazonほしいものリスト / お仕事のご依頼は こちら を参照ください