どうも、りょうかん(@ryokan_1123)です。
11月18日にスタンダードブックストアの中川和彦さんと東京R不動産の吉里裕也さんをゲストに招いて開催した『人が集う場所』がテーマのトークライブ。
その内容を書き起こして編集しました!
時間が空いてしまい、アップされるのを待ち望んでいた方もいらっしゃると思います。
全部で2時間分の内容を余すことなく伝えたかったので、長いですが三部編成になってしまいました。
ゆっくりと時間をかけて、スルメをしゃぶるように、読んでもらえたら幸いです。
前編に続く、第二部。
公共性の話に続いて、店長・りょうかんのちょっとした悩み相談。
そして、イベント参加者からの質問までガンガンに飛び交います!
前編はこちら
後編はこちら
実施:2015年11月18日
ふらっと立ち寄れるような場所にしたい(岡田)
岡田 ホンバコは、本の販売はしてなくて読めるだけの状態なんですけど、でもふらっと立ち寄れるような場所にしたいんです。
そう思っているにも関わらず、カフェとしてやってる以上は何かオーダーをしていただかないといけなくて、使う側からすれば対価が必要というひとつのハードルがあるんじゃないかというジレンマを最近感じていて。
吉里 リノベーションスクールの時もこの場所をどうするのかというのに加えて、この場所が周りの地域にどのように影響を及ぼすか考えると、さっき言ったみたいな公園のような場所っていう意見が出てきてた。
その時に、移動できる本棚があればいいんじゃないかってアイデアが出て、ホンバコが出来たわけなんだけど、最初は子どもが遊べる場所にするとかって色々意見が出てたよね。
岡田 そうでしたね。
吉里 時間帯によって区切ったらどう?
例えば、学生だったら平日夕方、家族・子供連れだったら平日の昼間は開放するとか。
岡田 今度企画している読み聞かせのイベントは、2階でやるんですけど、参加費フリーにしようかと思ってます。
中川 でも、フリーで来て飲み物が欲しいときにオーダーするかな~?
ちなみに、先日までやっていた森ノ宮のまちライブラリーって、80坪ぐらいで60席ぐらいで普段はカフェにお金を払わなきゃいけないんだけど、ライブラリーだけに来たい人もいるから、その人たちに向けてフリーの席も用意してたの。
岡田 まさにそんなイメージです。
中川 普通はみんな何か頼むんだけど、そのうち頼まない人も出てくるんじゃないかな~って。
今の話を聞いている限り、全てフリーにしてもいいと思っているのであれば、お客さんに買ってもらえるものをまず作った方がいいと思う。
吉里 でも、武雄市図書館に併設されたスタバが一番売り上げが良いって話があるじゃないですか。
図書館こそふらっと入れる場所なんですが、でもみんなあそこで頼んじゃうらしいですね。
中川 あっ、そうなんですか。
吉里 中川さんの前であれですけど、商業施設を考える時に本屋って集客施設なので、商業コンサル的なMDの考えから言うと、例えばイオンモールなどの大きな商業施設を作る時には家賃を下げるなどしても必ず本屋とスーパーは必ず入れるようにするんです。スーパーってほぼ毎日来るし、本屋はフラット立ち寄れる。そうなると、周りの店にも人が流れるから集客のために置こうとするんですよ。
岡田 なるほど、なるほど。
吉里 最近はビルの最上階に本屋がある場合があるけど、あれはシャワー効果を利用して、エレベーターやエスカレーターなどで他の階にも降りてもらおうとする鉄板手法なんです。
中川 まあ、やってみたらいいんじゃないかな〜。
吉里 イベントはどのくらいの頻度でやってるの?
岡田 多い時で週3~4個ぐらいですかね。
人が集まる場所を目指そうと思って、トークイベントやら読書会やら音楽ライブやら、意識的に色々と仕掛けてて。
ただ、2階でイベントやってると追加オーダー取れないのが難点だったりもしてますね。
究極の公共性ですね(岡田)
質問者 人が集まる場所として、本屋やカフェ、銭湯などが出てきましたが、それ以外で人が集まれる場所や、あったらいいなぁというものはありますか?(高校生)
中川 人の思想なんてそんなに変わらないと僕は思ってるから、新しい発明なんかはしなくてもいいと思ってます。
僕の場合は、本と雑貨があんまりくっついているイメージがなかったのでやってみただけで。
岡田 新しいものを探しても答えがあるわけじゃないよ、って感じですかね。
中川 grafの服部さんと大阪の知人とアメリカに旅行に行ったんですけど、その時の最初の目的地がヘンリーミラーメモリアルライブラリーというところだったんですよ。
そこは、敷地がとても広くて芝生やデッキにテーブルがあってそこで何をしてもいいような空間に小さな小屋があるだけの、しかも本を貸さない図書館なんですね。
ヘンリーミラーメモリアルライブラリー
岡田 なんで貸さないんですか?
中川 そこの人に「図書館なのに何故本を貸さないのか」と聞いたら、「あぁ、そう言えばそうだね」なんて返事が返ってきた。(笑)
その時は、そこの館長がイベントで不在だったので対応したのがアルバイトみたいな人だったんだけど、元々寄付で成り立っているようなところなんですよ。
岡田 なんか不思議ですね。
中川 そしたらね、「なんでライブラリーと呼ばれるようになったか、その所以を見せてやるからついて来い」と言われてついて行ったら、小屋の奥にヘンリー・ミラーの昔の新聞のスクラップ記事や売った原稿なんかが保管されていて。これは資料としてとても貴重なものなのに、突然やってきた訳のわからん日本人にふらっと見せてくれるってところに凄いって感じたんです。
岡田 それはすごい!!
中川 すごく自由な空気が流れていて、来て良かったし、こういう場って大事だなぁって。
こういう風にヘンリー・ミラーをリスペクトする人が集まることによって、ここが寄付で成り立っているんだなぁと思った。
岡田 それって、究極の公共性ですよね。
中川 だから、僕はどうしたらいいか分からないけど「ここが無いと困るな」と思ってもらえるような店を作りたいと思ってます。そして、コミュニケーションが図れるような空間にしたい。
そのツールが本なのか雑貨なのかわからないですが、そこの場にいる人たちが「この街にここがあって良かったな」って感じることが大事だと思う。
気持ちいい場所と美味しいものの掛け算(吉里)
吉里 基本的に人の嗜好はそんなに変わらないと僕も思ってて、心地いいとか美味しいなど感覚に訴えるのが大事だと思うんですよね。
ある種、本は凄いなって思ってるのは、昔は無かったのに現代では安価な状態で公共性を持ってる。
岡田 確かに、言われてみればそうですね。
吉里 でも、昔を考えると、例えば川辺とかはそうだと思うんです。
最近は、汚い川に背を向けて建っていたビルを川自体が綺麗になってきたから表向けましょうと色々な人が頑張ってるんだけど、そもそも歴史を紐解くと、やっぱり川辺って気持ちいい場所だし生活に欠かせない場所だったはずで。(まあ危険な場所でもあったかもしれないけど)
もしかしたら、そこが人が集まる場所なのかもしれないなって。
岡田 なるほど。確かに水の近くというのは落ち着く感覚がありますね。
吉里 あとは、神社とかお寺とかもそうだよね。
最近聞くのが、お寺も檀家さんが減ってきて、これからの経営をどうするか、どういう風にお寺を活用していくかってことなんだけど。
そうなると、川辺の気持ちいいところで本を読んだりコーヒー飲んだりすればいいじゃんとか、お寺でお酒飲めばいいじゃんっていう話になるんだよね。
岡田 場所と飲食の掛け算。
吉里 そう。割と気持ちいい場所と美味しいものの掛け算で生まれるものはあると思う。
だから、新しいコンテンツを生み出すっていうよりかは、昔あったもの、今は日の目を見ていないものを掘り上げてつなげるのがいいんじゃないかな。
中川 お寺の話を聞いて思い出したんだけど、ヘンリー・ミラーのメモリアルライブラリーは、チャーチ(教会)に似てるよねってことが書いてありました。
吉里 日本だと公共空間は基本的にお寺だけど、向こうだと教会っていうものは近いですよね。
僕も建築をやってきてて、教会の本を読んだり実際に行ってみたりもしたんですけど、教会の中ってすごく広いですよね。はじめてゴシック教会にはいったとき、 「あっ、ここは室内だけど広場だ」と思ったんですよね。
中川 おぉ、広場か!
吉里 もちろん礼拝のために集まるって機能があるんだけど、教会はいつも扉が開いてて人が集まる場所になってる。
日本だと若干特殊な場所になってるかもしれないけど、なんかその辺にヒントがあるんじゃないかと思う。
高校生の質問に答えてる様子
質問者 新しいものを見つけるというよりは、今あるものを掛け算していくところが大事だと感じました。(高校生)
吉里 逆に、僕らと違う目線で色々と見てると思うんだけど、どういうところが人が集まる場所だと思う?
質問者 ん~、それこそ人が楽しく飲んだり食べたり出来るところというのが、最初に思いついた場所ですかね、(高校生)
中川 実際の高校生はどんなところに集まってるの?
さっき挙げてたみたいなところ?
質問者 学校と家以外には、部活で使っているところぐらい。どっかに集まるというのは少ないですね。
部室とかは人がワチャワチャいて、楽しそうな感じがします。(高校生)
吉里 鳥取って、〇〇部ってないの?
岡田 僕が知ってる限りはないですね。
吉里 前橋に〇〇部っていうのがあって、例えば、今日焼肉食べたい人をFacebookとかSNSを使って集めてみんなで食べに行くとか、イベントに参加したい人を募って何かするとか、そんな感じで始まったんだけど、そのうち「部室が欲しいよね」って話になってリアルに作った例があるんですよ。
岡田 ありましたね。
吉里 さっきのコンテンツの話にも関わるんですけど、元はIT企業のサラリーマンの人が軽い感じで始めたものだけど、これが結構いろんなところで広がってきてて、新しいなぁとは感じてます。
中川 やってることは別段新しいことじゃないんだけど、ただSNSとかツールが変わっているから新しく見えるんだよね。
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