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【書評】村上敦さんの「ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか」にはエネルギーと交通によるまちづくりのヒントが満載!

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どうも、りょうかん(@ryokan_1123)です。

村上敦さんの「ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか」を読みました。

この本では、実際の事例や具体的な数値データを元に、日本の「コンパクトシティ」が失敗する原因とドイツの街で実施されている「ショートウェイシティ」の仕組みが解説されています

✅ 民間でもコンパクトシティ化に取り組みたい
✅ まちづくりの数値的目標の立て方を知りたい
✅ 海外のまちづくりの事例を具体的に学びたい

という人におすすめしたい一冊です。

一番のポイントは、

「エネルギー」と「交通」の2つの軸で『地域内経済の活性化』を狙う、というまちづくりの方向性を示している

という点。

日本のまちづくり界ではあまり語られない面にフォーカスしており、非常に参考になる書籍だと感じます。

りょうかん
りょうかん
間違いなくまちづくり関係者は全員読んだ方が良い書籍です…!!

発売された2017年にも読みましたが、ぶっちゃけ『2017年のベスト書籍ナンバーワン』だと感じていたぐらい。マジでおすすめな一冊です。

当記事の内容

✔︎ 「ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか」の概要を解説
✔︎ ショートウェイシティのポイントまとめ
✔︎ 本書を読んだ個人的な感想

村上敦さんの「ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか」ってどんな本?【概要】

ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか」は、2017年3月15日に発売された書籍です。

全252ページの本ですが、文字数は多めでデータを読み解く時間もかかるので、読み終わるまでに【約4時間】ほどかかります。

ザックリと内容を紹介すると、

・日本のコンパクトシティが失敗する理由を説明している
・ドイツの「移動距離の短いまちづくり」を徹底的に解説
・具体的事例を元に取り組むべきポイントが紹介されている

という感じです。

地域内経済で「お金」と「職場」を生み出すために、最もハードルが低くて影響度が高い対策アイデアとして『エネルギー』と『交通』に着目しており、中でも「ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか」では交通面について重点的に書かれています。

著者の「村上敦さん」ってどんな人?

著者の「村上敦むらかみあつしさん」のプロフィールも紹介しておきます。

・1971年生まれ
・ドイツ在住のジャーナリスト&環境コンサルタント
ドイツの環境政策、エネルギー政策、都市計画制度を日本に紹介している
・一般社団法人クラブヴォーバン代表
・日本エネルギーパス協会、日本エネルギー機構の顧問

普段はドイツに住みながら、執筆や講演などを行っており、最近は YouTube での動画配信も実施しているようです。

有名な著書には「キロワットアワー・イズ・マネー」や「フライブルクのまちづくり」などがあり、業界内ではかなり知られている存在でもあります。

 

「ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか」の目次は?

目次は下記の通りです。

はじめに ─ 車がないまちの豊かさ

1章 日本のコンパクトシティはなぜ失敗するのか

2章 地域経済を活性化する交通とは

3章 ショートウェイシティ─移動距離の短いまちづくり

4章 マイカーを不便にするコミュニティのデザイン

5章 費用対効果の高いまちづくりのツール、自転車

6章 交通のIT化とシェアリングエコノミーは地域を幸福にするか

りょうかん
りょうかん
時間のない人は3章まで読めばポイントは抑えられると思います!

 

ドイツ流「ショートウェイシティ」のポイント【紹介】

ドイツと日本の決定的な違い【戸建て率と持ち家率】

ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか」に載っているデータの中で、個人的にビックリしたのが『ドイツと日本の決定的な違い』です。

ほぼ人口形態が同じである「フライブルク市(ドイツ)」と「青森市(日本)」の比較になります。

【戸建て率】
フライブルク市(ドイツ):15%以下
青森市(日本):68%

【持ち家率】
フライブルク市(ドイツ):20%
青森市(日本):60%

どちらの数字も、青森市の数値はドイツの過疎地の農村レベルだそうです。

この数字からわかることは、青森(日本)は高い割合の戸建て&持ち家なので、住宅が一台限りで消費されてしまい、時間の経過とともに家族構成や世帯構成が急増&急減してしまうということ。

つまり、継続的な建て替えと住み替えがきちんと行われなければ、「まち」自体は持続的に機能せずに、人間の一世代分で賞味期限が切れてしまう可能性が高くなってしまいます。

りょうかん
りょうかん
地震の有無も関係するかもしれないですが、スクラップ&ビルド前提のスタンスは継続性が出来ないことは頭の片隅に置いておくのがいいのかなと。

移動回数は変えずに移動距離を短くする【交通工学】

ドイツ語圏の交通工学における言葉の定義も興味深かったです。

日本では一般的に「交通」とは「人や物の移動」と一括りで定義されますが、ドイツ語圏では、

移動(モビリティ)→ 回数で数えられる概念
交通(トラフィック)→ 距離で測られる概念

と分けられて定義づけられています。

そして、

モビリティ(移動)の頻度を
抑制することは出来ない

という大前提(自由な移動権の保障)のもと、『トラフィック(交通=移動距離)は抑制すべきだ』という考え方で都市計画を設計しているとのこと。

つまり、その流れで「ショートウェイ=移動距離の短い」というまちづくりが進んでいるというわけです。

りょうかん
りょうかん
完全に目から鱗な概念ですが、考えてみれば当たり前で納得感があるなと!

マイカーが「都市空間」を大量消費している【悲報】

加えて、ショートウェイシティにしていく上で「マイカー移動を減らしていく」という考えが中心になります。

その根拠として、モータリゼーション(個人のマイカー所有化)による都市空間の大量消費が挙げられています。

ウィーン工科大学のヘルマン・クノーフラッハー教授によると、各交通機関(移動手段)の都市空間消費量は下記の通りです。

徒歩(4km/h) 0.95 ㎡
自転車(30km/h) 6.7 ㎡
公共交通(30km/h) 4.1 ㎡
公共交通(50km/h) 8.8 ㎡
マイカー(30km/h) 75.3 ㎡
マイカー(50km/h) 199.0 ㎡
公共交通は乗車率40%で計算されています。

圧倒的にマイカーが破壊的なほどに都市空間を占有してしまっているとわかります。(走行用の道路空間や駐車用のスペースによる占有)

つまり、これにより下記の3つのマイナス面が生じてしまうというわけ。

・地域経済において非生産的なもので都市空間の大半が占有されている
・マイカー所有によって消費される支出額の半数以上が域外に流出する
・居住空間が圧迫され、商売成立に必要な人口密度が確保できなくなる

りょうかん
りょうかん
この事実を知ってしまってもなお「マイカーが必要な都市計画」を描いてしまう街は、悲惨な未来しかなさそうですね・・・

 

前提のポイントだけをお伝えしましたが、実際にどんな風な取り組みをすればいいのかも「ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか」には書かれています。

気になる人はぜひ手にとって読んでみてください。

「ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか」を読んだ感想【書評まとめ】

この記事では、【書評】村上敦さんの「ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか」にはエネルギーと交通によるまちづくりのヒントが満載!について書いてきました。

実を言うと、昨日の夜に著者の村上敦さんのトークイベントに参加をしたことに刺激を受けて、「ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか」を読み返しました。

2017年に一度読んだ書籍ではありますが、前回はピンとこなかった部分も「なるほど!!」と納得感を抱くことが多かったです。

りょうかん
りょうかん
前回も感じましたが、これはまちづくり書の中でもピカイチに読むべき一冊だと思います…!!

しかし、この書籍は「交通部門」にフォーカスされており、実際に民間事業者が日本のまちづくりで応用するには少しハードルが高いようにも感じました。

なので、次は「エネルギー部門」について書かれた書籍を読もうと思っています。

昨日のトークイベントでも語られていましたが、民間で動くなら「エネルギー部門」から始めるのが良いとのことなので、まずは読んで勉強をしてみようかなと。

ひとまず、村上敦さんの最新著書「進化するエネルギービジネス」を購入したので、読んだらまた書評を書かせてもらいます。

本書の内容まとめ

✔︎ 日本のコンパクトシティが失敗する理由を解説している
✔︎ ドイツ式のショートウェイシティを詳しく紹介している
✔︎ 具体事例や詳細な数値データを参照しながら書かれている

 

というわけで、今回の記事は以上です。

では、また!

 

ABOUT ME
りょうかん
1990年11月 鳥取市生まれ / ブロガー兼WEBライター / 鳥取と熱海の二拠点生活中 / ✍毎日noteを書いてます / Amazonほしいものリスト / お仕事のご依頼は こちら を参照ください