どうも、りょうかん(@ryokan_1123)です。
山口周さんの「武器になる哲学 〜 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50」を読みました。
この本では、コンサルティングや問題解決のプロである著者が、修羅場を切り開くのに非常に有用だった「哲学」だけを50個ほどピックアップしてまとめられています。
✅ ビジネスの現場でも使える哲学を学びたい
✅ 哲学や思考のエッセンスを知っておきたい
✅ 哲学者たちの思考プロセスを追体験したい
という人に向けて書かれた一冊です。
✔︎ 「武器になる哲学」の概要を解説
✔︎ ビジネスパーソンが哲学を学ぶべき4つの理由を紹介
✔︎ 本書を読んだ個人的な感想
ちなみに、本書は聴く読書の「Audible(オーディブル)」の対応書籍です。30日間の無料体験可能なので、この機会に聴読を試してみてください!
山口周さんの「武器になる哲学」ってどんな本?【概要】
「武器になる哲学」は、2018年5月18日に発売された書籍です。
全368ページの本で内容もヘビーなので、集中しても読み終えるまでに【約5時間】ほどかかります。
ザックリと内容を紹介すると、
・コンサルの修羅場で役に立った「哲学思想だけ」をまとめている
・哲学者のアウトプットではなく「思考プロセス」を解説している
・ビジネスパーソンに向けて「哲学の使い方」を教えてくれている
という感じかなと。
著者の「山口周さん」ってどんな人?
著者の「山口周さん」のプロフィールも紹介しておきます。
山口周(やまぐちしゅう)
・1970年生まれ 東京都出身
・慶應義塾大学 文学部 哲学科 卒業
・同校大学院 文学研究科 美学美術史学専攻 修了
・電通、ボストン・コンサルティング・グループ等を経て、組織開発や人材育成を専門とする「コーン・フェリー・ヘイグループ」に参画
・株式会社モバイルファクトリー 社外取締役
・一橋大学 経営管理研究科 非常勤講師
著書には、ベストセラーの「ニュータイプの時代」や「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」「知的戦闘力を高める 独学の技法」などがあります。
「武器になる哲学」の目次は?
「武器になる哲学」の目次は下記の通りです。
プロローグ —— 無教養なビジネスパーソンは「危険な存在」である
第1部 哲学ほど有用な「道具」はない
本書といわゆる「哲学入門」の違い
なぜ、哲学に挫折するのか?
第2部 知的戦闘力を最大化する50のキーコンセプト
第1章 「人」に関するキーコンセプト
第2章 「組織」に関するキーコンセプト
第3章 「社会」に関するキーコンセプト
第4章 「思考」に関するキーコンセプト
ビジネスパーソンのための哲学ブックガイド
具体的な『人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』は、下記の50項目になります。(長いので飛ばし読みしてもらって構いません)
第1章 「人」に関するキーコンセプト
—— 「なぜ、この人はこんなことをするのか」を考えるために
01 ロゴス・エトス・パトス
—— 論理だけでは人は動かない(アリストテレス)
02 予定説
—— 努力すれば報われる、などと神様は言っていない(ジャン・カルヴァン)
03 タブラ・ラサ
—— 「生まれつき」などない、経験次第で人はどのようにでもなる(ジョン・ロック)
04 ルサンチマン
—— あなたの「やっかみ」は私のビジネスチャンス(フリードリッヒ・ニーチェ)
05 ペルソナ
—— 私たちは皆「仮面」を被って生きている(カール・グスタフ・ユング)
06 自由からの逃走
—— 自由とは、耐え難い孤独と痛烈な責任を伴うもの(エーリッヒ・フロム)
07 報酬
—— 人は、不確実なものにほどハマりやすい(バラス・スキナー)
08 アンガージュマン
—— 人生を「芸術作品」のように創造せよ(ジャン・ポール・サルトル)
09 悪の陳腐さ
—— 悪事は、思考停止した「凡人」 によってなされる(ハンナ・アーレント)
10 自己実現的人間
—— 自己実現を成し遂げた人は、実は「人脈」が広くない(エイブラハマ・マズロー)
11 認知的不協和
—— 人は、自分の行動を合理化するために、意識を変化させる生き物(レオン・フェスティンガー)
12 権利への服従
—— 人が集団で何かをやるときには、個人の良心は働きにくくなる(スタンレー・ミルグラム)
13 フロー
—— 人が能力を最大限に発揮し、充足感を覚えるのはどんな時か?(ミハイ・チクセントミハイ)
14 予告された報酬
—— 「予告された」報酬は、創造的な問題解決能力を著しく毀損する(エドワード・デシ)
第2章 「組織」に関するキーコンセプト
—— 「なぜ、この組織は変われないのか」を考えるために
15 マキャベリズム
—— 非道徳的な行為も許される。ただし、よりよい統治のためになら(ニッコロ・マキャベリ)
16 悪魔の代弁者
—— あえて「難癖を付ける人」の重要性(ジョン・スチュアート・ミル)
17 ゲマインシャフトとゲゼルシャフト
—— かつての日本企業は「村落共同体」だった(フェルディナンド・テンニース)
18 解凍=混乱=再凍結
—— 変革は、「慣れ親しんだ過去を終わらせる」ことで始まる(クルト・レヴィン)
19 カリスマ
—— 支配を正当化する三つの要素「歴史的正当性」「カリスマ性」「合法性」(マックス・ヴェーバー)
20 他者の顔
—— 「わかりあえない人」こそが、学びや気づきを与えてくれる(エマニュエル・レヴィナス)
21 マタイ効果
—— 「おおよそ、持っている人は与えられて、いよいよ豊かになるが、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう」(ロバート・キング・マートン)
22 ナッシュ均衡
—— 「いい奴だけど、売られたケンカは買う」という最強の戦略(ジョン・ナッシュ)
23 権力格差
—— 上司は、自分に対する反対意見を積極的に探せ(ヘールト・ホフステード)
24 反脆弱性
—— 「工務店の大工さん」と「大手ゼネコンの総合職」はどちらが生き延びるか?(ナシーム・ニコラス・タレブ)
第3章 「社会」に関するキーコンセプト
—— 「いま、何が起きているのか」を理解するために
25 疎外
—— 人間が作り出したシステムによって人間が振り回される(カール・マルクス)
26 リバイアサン
—— 「独裁による秩序」か?「自由がある無秩序」か?(トマス・ホッブズ)
27 一般意志
—— グーグルは、民主主義の装置となりえるか?(ジャン・ジャックス・ルソー)
28 神の見えざる手
—— 「最適な解」よりも「満足できる解」を求めよ(アダム・スミス)
29 自然淘汰
—— 適応力の差は突然変異によって偶発的に生み出される(チャールズ・ダーウィン)
30 アノミー
—— 「働き方改革」の先にある恐ろしい未来(エミール・デュルケーム)
31 贈与
—— 「能力を提供し、給与をもらう」ではない関係性を作ろう(マルセル・モール)
32 第二の性
—— 性差別はとても根深く、血の中、骨の中に溶け込んでいる(シモーヌ・ド・ボーヴォワール)
33 パラノとスキゾ
—— 「どうもヤバそうだ」と思ったらさっさと逃げろ(ジル・ドゥルーズ)
34 格差
—— 差別や格差は、「同質性」が高いからこそ生まれる(セルジュ・モスコヴィッシ)
35 パルプティコン
—— 「監視の圧力」を組織でどう飼いならすか(ミシュル・フーコー)
36 差異的消費
—— 自己実現は「他者との差異」という形で規定される(ジャン・ボードリヤール)
37 公正世界仮説
—— 「見えない努力もいずれは報われる」の大嘘(メルビン・ラーナー)
第4章 「思考」に関するキーコンセプト
—— よくある「思考の落とし穴」に落ちないために
38 無知の知
—— 学びは「もう知ってるから」と思った瞬間に停滞する(ソクラテス)
39 イデア
—— 理想に囚われて現実を軽視していないか?(プラトン)
40 イドラ
—— 「誤解」にはパターンがある(フランシス・ベーコン)
41 コギト
—— 一度チャラにして「疑えないこと」から再スタートしてみよう(ルネ・デカルト)
42 弁証法
—— 進化とは「過去の発展的回帰」である(ゲオルグ・ウィルヘルム・フリードリッヒ・ヘーゲル)
43 シニフィアンとシニフィエ
—— 言葉の豊かさは思考の豊かさに直結する(フェルディナンド・ソシュール)
44 エポケー
—— 「客観的事実」をいったん保留する(エドムント・フッサール)
45 反証可能性
—— 「科学的である」=「正しい」ではない(カール・ポパー)
46 ブリコラージュ
—— 何の役に立つのかよくわからないけど、なんかある気がする(クルード・レヴィ=ストロース)
47 パラダイムシフト
—— 世の中はいきなり「ガラリ」とは変わらない(トーマス・クーン)
48 脱構築
—— 「二項対立」に縛られていないか?(ジャック・デリダ)
49 未来予測
—— 未来を予測する最善の方法は、それを「発明」することだ(アラン・ケイ)
50 ソマティック・マーカー
—— 人は脳だけでなく身体でも考えている(アントニオ・ダマシオ)
ビジネスパーソンが哲学を学ぶべき「4つ」の理由
「武器になる哲学」では、ビジネスパーソンが哲学を学ぶべき理由を下記の4点で説明しています。
ビジネスパーソンが哲学を学ぶべき理由
① 状況を正確に洞察する
② 批判的思考のツボを学ぶ
③ アジェンダ(課題)を定める
④ 二度と悲劇を起こさないために
これらをひとつずつ解説していきます。
① 状況を正確に洞察する
哲学を学ぶことで得られる最大の効用は、『いま目の前でおきていることを深く洞察するヒントが手に入ること』だと言います。
たとえば、昨今の【教育改革】はいい例です。
フィンランドでは、年次別カリキュラムや教科別授業を廃止する流れが生まれています。
日本人的には「なにそれ、そんな新しいシステムあるの!?」と感じるかもしれませんが、よくよく考えると、明治維新以前の寺子屋的なシステムも同じなんですよね。
つまり、一見すると「新しいシステム」でも、長い時間軸では「発展的要素を含んだ古いシステムに回帰した」と言えるというわけ。
これは、「弁証法」における『総合・進化は螺旋状に行われる』、すなわち【発展と復古が同時に起きる】という思考を応用して考えることができます。
② 批判的思考のツボを学ぶ
また、上記でも軽く触れたように、哲学の歴史は『提案→批判→再提案』の繰り返しによって進んできています。
これは、ビジネスの世界でも同様だと言えます。
事業(企業)を永続していくためには「変化していくこと」が大前提になりますが、そのためには『批判』のプロセスを経る必要があります。
つまり、哲学者が「既存の常識(提案)」から「新しい常識(再提案)」をするまでの思考プロセスを学ぶことは、ビジネスを続けていく上でも超重要だということです。
③ アジェンダ(課題)を定める
近年のビジネス界は「イノベーション」が経営課題の筆頭に挙げられる傾向にあります。
が、「課題設定」のないところにイノベーションは生まれません。
そのため、今の時代では「課題設定能力」を高める必要性が上がってきているわけですが、課題を汲み取るためには【常識の相対化する力】が不可欠です。
そして、ただ「常識を疑う」のではなく、「疑うべき常識」を見極める眼が大事になってくるのは、なんとなくわかるところかなと。
しかし、「疑うべき常識」を見極めるためには【基礎教養】が必須になります。(教養がなければ相対化ができない)
その教養(≒哲学)を学ぶことで、課題設定能力が高まり、イノベーションを起こせるようにもなっていく、というわけです。
④ 二度と悲劇を起こさないために
そして、ビジネスパーソンが哲学を学ぶ最大の理由は「悲劇を繰り返さないために」です。(この理由が最も大事に感じます)
過去の哲学者たちは、時代の悲劇を目の当たりにするたびに人間の愚かさを告発し、その悲劇が繰り返されないように「愚かさを克服する方法」を考えて提案をしてきました。
すなわち、哲学には【人類の悲劇から生まれた教訓】が詰まっているんです。
だからこそ、その教訓を最大限に活用することでより高い水準の知性を発揮していく。それこそが、今の時代を生きる我々には求められているのかなと。
これらの理由がひとつでも刺さった人は、ぜひ「武器になる哲学」を購入して50個の具体的な内容を読んでみてください!
「武器になる哲学」を読んだ感想【書評まとめ】
この記事では、「【書評】山口周さんの「武器になる哲学」に書かれてる『ビジネスパーソンが哲学を学ぶべき4つの理由』とは?」について書いてきました。
本書はいわゆる「哲学入門」とは違い、
❶ 目次に時間軸を用いていない
❷ 個人的な有用性に基づいている
❸ 哲学以外の領域もカバーしている
という特徴があります。つまり、これまでの哲学書で挫折した人向けに「ユーティリティ」を元に編集されているのが最大のウリです。
が、正直、気合いを入れて読まなければ途中で挫折してしまうそうな書籍でもありました・・・
哲学者の思考プロセスを解説してくれているのですが、その時代背景や当時の常識をインストールして理解しないと次の思考に進めない、というジレンマを抱いてしまいました。
とは言え、現実のビジネスシーンで使える内容が多いので、ゆっくりじっくりひとつずつ理解を深めながら読み進めていくべき一冊だと思います。
時間を見つけてぜひチャレンジしてみてください!
✔︎ ビジネスの現場で役に立つ「哲学思想」をまとめている
✔︎ 哲学者の言葉ではなく「思考プロセス」を解説している
✔︎ 知的な戦闘力を最大化する哲学の使い方を教えてくれる
本書は聴く読書の「Audible(オーディブル)」の対応書籍です。30日間の無料体験可能なので、この機会に聴読をしてください!
というわけで、今回の記事は以上です。
では、また!