どうも、りょうかん(@ryokan_1123)です。
2週間ほど前になりますが、「ミレニアル世代から見た民藝」というイベントに登壇させていただきました。
>> 10月6日(土) 鳥取市で開催される「ミレニアル世代から見た民藝」に登壇します!【入場無料】
当日は生憎の台風直撃予報…。交通機関の遅れなどを考慮して参加できなかった人も多かったようですが、30人近くの方にお越しいただき非常に充実した時間となりました。
というわけで、少し時間が経過してしまいましたが、イベント「ミレニアル世代から見た民藝」に登壇して考えたこと、と、その後に感じたこと、を書き残しておこうかと思います。
当日の様子。
今回の登壇ゲストは、鳥取に縁のある平成生まれブロガー4名。(ichさんだけ台風の影響で飛行機が欠航してオンライン参加)
まずは15時すぎに会場に集まり、登壇者は新鳥取県史編さん調査委員の佐々木孝文さん監修の元、事前講習っぽい民藝まち歩きに繰り出しました。
ミレニアム世代から見た民藝
モデル*セトセイラ
マジシャン*さっけー@Sake_yuta
小坊主*りょうかん@ryokan_1123町歩きするよーー! pic.twitter.com/g2LO1VR0Tv
— セトセイラ@モテおむすび研究家 (@sennnennzakura) 2018年10月6日
どんなところを回ったかと言うと…、と思ってツイッターを遡っていたら
下手に説明するよりも、ツイートを追っかけてもらった方が雰囲気が伝わると思うのでこちらをご覧になってみてください。
その事前レクチャーを受けた上で、18時よりトークイベント。
第1部では佐々木孝文さんに僕らが教えていただいた内容をサラッと説明していただき、第2部で「若い世代へ民藝を伝える発信をしていくためにはどうすれば良いのか」という議題でトークをしました。
トークセッションの様子も、
その他のツイートも「#ミレニアル世代から見た民藝」で検索してみてもらえると嬉しいです。
民藝をどう若者に伝えるか
とてもざっくりとした流れの説明になりましたが、今回のトークテーマでもある「若い世代に民藝をどう伝えていけば良いか」の話も振り返っておきます。
登壇者4名の意見を整理してみると、
民藝に対して抱いていたイメージ
✔︎ 普通は手を出せない高価なもの
✔︎ なんとなく難しそうな印象
✔︎ 陶器の器のことだと思っていた
✔︎ ことりっぷなどで取り上げられている
✔︎ 名前だけは聞いたことあるぐらいの認識
という感じだったでしょうか。それぞれ程度の違いはあれど、おそらく僕たち世代の多くの人は同じようなイメージを持っているんじゃないかと思います。
漠然と踏み込みにくそうな印象を与えているという共通認識を持った上で、「では、どうしたらいいのか」という議論。
オンライン登壇となった ichさん がササっとスライドを作ってプレゼンしてくれたのですが、それが非常によくまとまっていまして、その概要をツイートにしてくれていたので引用しておきます。
テーマ「民藝をどうやって若者に伝える…?」セッション始まりました!
私は残念ながらトークセッションしにくいので・・・(オンライン)🔻提案を3つ考えてみました!
①:体験によって伝える
②:SNSや媒体をつかって伝える
③:そもそもアプローチ層が合っているのかさぁ、意見交換しましょ! https://t.co/JmruTfDx2W
— ich(いち)@地方を旅するWEBライター&エステティシャン (@mw400813) 2018年10月6日
「民藝」というものを PR していくことを考えたときに考えるべきは、この3点で間違いはないと僕自身も感じました。
広めるのか、深めるのか。
で、さらにもう一歩。
当日も話をさせてもらったんですが、発信者としては「広めて届けるのか」「深めて届けるのか」ということも意識しておかないといけないなと思っています。
PRや広報と聞くと「多くの人に広めることが大正義」と思われがちですが、“あえて広めない”という選択肢も持っておくべきじゃないかなと。
節操なく広めることで存在がチープ化されていく。その結果として、商品(サービス)の寿命が短くなることだってあるわけですので。
(極端な例ですが、スターバックスコーヒーが「たくさん人に来てほしいから」とコーヒー100円キャンペーンなんてし始めたら、きっと一気に客離れが起きると思いません?)
そして、今回のテーマでもある『民藝』は、間違いなくその類。であれば、「安易に広めるアプローチを取るのはいかがなものか」というのが僕のスタンスです。
「広める」と「深める」についての話は、こちらの記事でも触れてますので興味があれば読んでみてください。
“民藝” と “民藝品” は全然違う!?
あと、イベント後の懇親会で参加者の方々と話をしている中で気づいたことなんですが、『民藝』と『民藝品』を同列に考えると認識がズレるのかもしれない感じました。
僕の中では、
✔︎ 民藝 = 思想
✔︎ 民藝品 = 民藝の思想に基づいた工芸品
と捉えているんですが、僕も含めて議論の内容が「民藝“品”をどう広めるか」という方向で進んでしまっていたような気がしてます。(ちょっと反省)
民藝を「民藝品」という“有形なもの”と考えてしまうと、PR広報のような広めるアプローチの発想になってしまうのかもなと。
民藝の心は「どんな暮らしをしたいのか」の先にある
こんな話を踏まえて考えると、今回のイベント主催者の「一般社団法人まるにわ」が取り組むべきは(吉田璋也さんの取り組んだような)プロデュース業なのだろうなと感じました。(生意気にすみません)
若い世代に民藝を広めよう(伝えよう)と安易な方法に飛び付いてみるよりも、地に足つけてドッシリと構えて高い視座を持って取り組んでいく姿を見せる方が、思想や文化を残せていけるんじゃなかろうかと。
で、そのための方法として考えられるひとつの形としては、
✔︎ 現代に合わせた民藝の解釈を再定義する
✔︎ 自分たちなりの現代版民藝品を職人と作る
✔︎ その民藝品を取り扱う拠点を作る
✔︎ その上でPR広報の施策を考える
みたいな感じでしょうか。
もちろん、これ以外にも自分たちなりの民藝の心を解釈するやり方はあると思います。
ですが、どんな方法を取るにせよ、重要なのは「どんな暮らしをしたいか」を追求し続けること。その追求無しには、薄っぺらい民藝の心しか残していけない気がしています。
考えれば考えるほど奥が深い『民藝』の世界。奥が深いからこそ若い世代が疎遠になりやすく、その一方で、表面の薄っぺらい部分だけを伝えることにもあまり意味がない。
当たり前の結論に達してしまい申し訳ないんですが、若者に届けるには「民藝の想いに真摯に向き合い、正直に発信をし続ける」しかない気がしています。
途中から落としどころが見つからずとっ散らかった記事になってしまいましたが、今後も 民藝 については考え続けていくつもりです。
また気づきがあればブログやnoteでまとめていこうと思います。今日はこの辺で。
余談:現代版の民藝っぽいと感じる商品たち
このイベント前後で色々と民藝について考えている中で、「この商品って現代版の民藝っぽいな〜」と感じたものがいくつかありました。
参考になればと、最後に紹介して終わります。
Brilliant(ブリリアント)|EVERY DENIM
「EVERY DENIM」と「灯台もと暮らし」が共同で運営していたオンラインサロン「僕らの理想のデニムってなんだろう?」から生まれた商品。
ユーザー視点からの理想のデニム像と、伝統的な職人の技を、見事に融合させています。
商品化までのアプローチやプロセスは、現代的な民藝を考える上で良い参考になるんじゃないかなと。
PRESSo(プレッソ)|drip
こだわりのモノを紹介する若手ブロガー集団「drip」が、老舗革小物メーカー「PRAIRIE」とコラボして商品化した『キャッシュレス時代の理想の財布』。
現在絶賛クラウドファンディング中なんですが、こちらも職人の技をリスペクトしながら現代人の生活習慣に合わせた商品を産み出しているという意味で、とても民藝的だなと感じてます。
&bottle(アンドボトル)|タイガー魔法瓶
僕の尊敬する編集者・藤本智士さんが、タイガーとコラボして12年越しに商品化した水筒。
「あたらしい“ふつう”のすいとうをつくる」というコンセプトのもと、いまの時代に合った水筒を考え抜いて作られている点や、販売ルートを限定して広く売らない戦略を取っている点など、現代版の民藝と呼びたくなる部分がたくさんある気がしています。
こちらのインタビューなどとても参考になるので、ぜひ読んでみてください。