どうも、りょうかん(@ryokan_1123)です。
大村大次郎さんの「お金の流れで探る現代権力史」を読みました。
この本では、元国税調査官だった筆者によって、複雑な近現代史(特に権力関係)が「経済(お金の流れ)」によって解説されており、これまでと違った視点で歴史の本質に迫ることができます。
✅ お金の流れから歴史を学んでみたい
✅ 近現代史と経済の関連性に興味ある
✅ 違う角度から歴史の裏側を眺めたい
という人に是非とも読んでほしい一冊です。
✔︎ 「お金の流れで探る現代権力史」の概要を解説
✔︎ 冷戦後の日米の興味深い関係性と先進国の富裕層優遇の理由を紹介
✔︎ 本書を読んだ個人的な感想
大村大次郎さんの「お金の流れで探る現代権力史」ってどんな本?【概要】
「お金の流れで探る現代権力史」は、2016年12月9日に発売された書籍です。
全272ページの本なので、集中して読めば【約3時間】で読み終えることができます。
ザックリと内容を紹介すると、
・元国税調査官の著者が現代権力史を経済の側面から解説している
・アメリカ、ソ連、アラブ、EU、中国などの動きの裏側を知れる
・これまでの歴史では見えなかった新たな見方ができるようになる
という感じ。
特に『冷戦終結後のアメリカと日本の関係性』や『先進国の多くで法人税が引き下げられている理由』などは今まで知らなかった視点で分析されていて、とても興味深かったです!
また、昨日一昨日に紹介した「お金の流れでわかる世界の歴史(世界史編)」と「お金の流れで読む日本の歴史(日本史編)」を合わせて読むと、より理解が深まります。
著者の「大村大次郎さん」ってどんな人?
著者の「大村大次郎さん」のプロフィールも紹介しておきます。
大村大次郎(おおむらおおじろう)
・元国税調査官
・国税局に10年間勤務(主に法人税担当調査官として)
・退職後、ビジネス関連を中心としたフリーライターとして活動
・ベストセラー本「あらゆる領収書は経費で落とせる」などを出版
・学生の頃からお金や経済の歴史を勉強して30冊以上を出版(別のペンネーム)
元国税調査官という経歴を活かした多くのベストセラー書籍を出版しています。
・完全図解版 税務署員だけのヒミツの節税術ーあらゆる領収書は経費で落とせる【確定申告編】
・税金を払わずに生きてゆく逃税術
・フリーランス&個人事業主 確定申告でお金を残す! 元国税調査官のウラ技
ちなみに、「お金の流れ〜」のシリーズも複数出版されているので、合わせて読んでみてください。
「お金の流れで探る現代権力史」の目次は?
目次は下記の通りです。
プロローグ
第1章 イギリスは、世界の派遣を「お金で買った」
第2章 アメリカの「金」と「ドル」に世界が屈服!
第3章 もう一つの “資源大国” としてのソビエト連邦
第4章 アラブを再興させた “オイル・マネー” の威力
第5章 敗戦国ドイツ「奇跡の復興」と「苦悩」
第6章 アメリカを脅かす日本、経済力の源泉は?
第7章 石油利権闘争 — アラブ社会の反乱
第8章 “第3の経済勢力” 中国の目覚め
第9章 実は「経済問題」だった東西冷戦の結末
第10章 「アメリカ復権」と「日本凋落」の密接な関係
第11章 イスラム国の背景を「お金の流れ」から探る
第12章 EU発足!共通通貨・ユーロの野望とは?
第13章 世界最大の借金大国「米」VS. 黒字の貿易大国「中」
第14章 イギリスが仕掛けた世界最大の “経済テロ”
エピローグ
冷戦後の日米関係の闇&先進国の富裕層優遇の理由
「お金の流れで探る現代権力史」を読んで最も興味を持った箇所が、「冷戦後の日米関係」と「先進国の富裕層優遇の理由」です。
冷戦後の日米間に生じた衝撃的な闇とは?
冷戦終結後(1990年代)、現在の日本財政に重大な悪影響を与えるきっかけがあったことを、みなさん知ってますか??
そのことを説明する前に、まずは東西冷戦中のアメリカの状況を軽く伝えておくと、
・冷戦中の軍備強化&諸外国への支援により財政が底辺に落ちる
・共産主義国陣営にならないように西側陣営国に気を使っていた
という感じ。つまり、意外にも冷戦当時のアメリカには西側陣営に対する影響力が薄く、財政も緊迫していっていたようです。
そんな状況も冷戦が終わったことで一変します。アメリカ一強状態になったことで、西側諸国に対してかなり厳しい要求をするようになり、その影響が日本にも・・・
結果的に、日本は下記の2つの要求を押し付けられています。
① 大規模小売店舗法の緩和(出店規制撤廃)
② 10年間で合計630兆円の公共事業の実施
①の「大規模小売店舗法の緩和」は、日本の商店街が「シャッター通り化」した要因とも言われています。
この出店規制の段階的撤廃により、アメリカの大型店舗事業者が一気に日本の地方都市に出店攻勢をかけてきました。そして、地域の商店街を破滅に追い込み、地域のお金がアメリカに流れ込んでいくことに・・・
また、②の「10年間で合計630兆円の公共事業の実施」は、1990年に当時の海部俊樹首相がアメリカに対する公約として明言(最初は430兆円を確約)をしたものです。
これは、当時の日本の貿易黒字がとても大きい一方で、内需(国内消費)が圧倒的に少なかったことに対して、アメリカから「お金をばら撒いて国主導で国内消費を増やせ!!(そしたらアメリカの貿易収支が改善する!!)」という圧力がかかったのだと言います。
ちなみに、1990年度の日本の赤字国債の発行はゼロでした。
つまり、当時の日本はとても健全な財政状況だったのです。
それが現在の国債発行額は約900兆円。ここまで国の借金が膨らんだ原因は、このときの「630兆円の公共事業」にあると言っても過言ではないでしょう。
先進国で富裕層優遇政策が進む理由とは?
前回の「世界史編」や「日本史編」でも触れましたが、現在、日本をはじめとする先進国では富裕層優遇とも言える政策が進んでいます。
たとえば、日本の場合、
法人税
1980年代:60%近く
2010年代:30%程度
相続税(最高税率)
1980年代:75%
2010年代:55%
と、富裕層(企業)に対する税率は下がり続けており、富の集中は確実に進んでいます。
年収200以下のサラリーマン
1999年:約804万人
2014年:約1,139万
金融資産100万ドル以上の億万長者
2004年:約134万人
2013年:約273万人
上記の数字を見れば、貧富の差が広がっているのはわかるかなと。
そして、この傾向は、アメリカ・イギリス・ドイツ・フランスなど他の先進国でも同様です。
では、なぜこのような富裕層優遇な政策が進められるのでしょうか??
理由は 『タックス・ヘイブン(租税回避地)の増加』 にあると言います。
タックス・ヘイブンとは?
法人税や住民税などの税金がかからない(もしくは著しく低い)地域のことで、国土の少ない旧イギリス領地の島国などで採用されていることが多い。
節税の目的で多国籍企業やヘッジファンドが本拠地を置いていたり、富裕層が居住地を移したりしている。
先進国としては、本来納税されるべき税金が入らない事態になるため、国際的な問題になってきている。
世界中の多国籍企業や富裕層によるタックス・ヘイブンの利用がブーム化したことで、先進国は法人税の引き下げなどの富裕層優遇政策をせざる得ない状況になっているというわけです。
そして、その減収分をカバーするために、これまで課税対象にしていなかった中小企業への課税を増やしたり、抜け穴のない消費税(間接税)を引き上げるという方針になってしまうんですね。
ますます格差が広がってしまうことはわかっていても、世界的な潮流から抜け出す明確な手立てがないのが現状なのかなと。
このように、経済(お金の流れ)を軸に歴史をひも解くと常識とは違った真実が見えてきます。
他にも驚愕な事実がたくさん書かれていたので、ぜひ自身の目で確認してみてください!
「お金の流れで探る現代権力史」を読んだ感想【書評まとめ】
この記事では、「【書評】大村大次郎さんの「お金の流れで探る現代権力史」は今までの歴史観をガラッと変えてくれる一冊!超おすすめ!」について書いてきました。
これまでに読んだ「世界史編」や「日本史編」とは違い、内容のほとんどが第二次世界大戦以降の近現代史の解説になっています。
なので、前の2冊よりも実生活にも繋がるような記載も多く、身近な事実として興味深く読めるのではないかと思います。
「お金の流れで探る現代権力史」を1冊読んでおけば、ニュースなどで報じられる事件の裏側にある権力闘争の様子がわかるようになるはずです。
これからの時代を生きるビジネスマンは『基礎教養』として読んでおきましょう!
✔︎ 第二次世界大戦後の現代史をお金の動きで解説している
✔︎ 従来の歴史観とは違う視点で権力の動きを分析している
✔︎ 今後の世界の流れがどうなるかを予想できるようになる
というわけで、今回の記事は以上です。
では、また!