どうも、りょうかん(@ryokan_1123)です。
大島芳彦さん(+ブルースタジオ)の「なぜ僕らは今、リノベーションを考えるのか」を読みました。
この本では、リノべ界を牽引してきた著者の大島芳彦さんが「どのような考えでリノベ建築設計をしてきたか」を語っており、所属している建築設計事務所ブルースタジオが手がけてきた実例も多数紹介されています。
✅ リノベ界トップランナーの単著を読みたい
✅ 成功しているリノベ建築の実例を知りたい
✅ これからの住宅不動産活用のヒントが欲しい
という人におすすめな一冊です。
一番のポイントは、
リノベーションの成功事例に込められた秘訣を知れる
という点かなと。ブルースタジオの手がけた全10事例が複数のカラー写真とともに10ページ前後を使って紹介されています。
✔︎ 「なぜ僕らは今、リノベーションを考えるのか」の概要を解説
✔︎ リノベーションに取り組むべき理由
✔︎ 本書を読んだ個人的な感想
大島芳彦さんの「なぜ僕らは今、リノベーションを考えるのか」ってどんな本?【概要】
「なぜ僕らは今、リノベーションを考えるのか」は、2019年8月10日に発売された書籍です。
全184ページの本なので、集中して読めば【約1.5時間】ほどで読み終えることができます。
ザックリと内容を紹介すると、
・大島芳彦さんがリノベーションを始めた経緯と背景がまとめられている
・社会的な変化に合わせて「リノベで考えるべきポイント」を解説している
・ブルースタジオで取り組んだ事例を裏話とともに計10個ほど紹介している
という感じです。
著者の「大島芳彦さん」ってどんな人?
著者の「大島芳彦さん」のプロフィールも紹介しておきます。
・1970年生まれ
・株式会社ブルースタジオ 専務取締役(クリエイティブディレクター)
・一般社団法人リノベーション協議会 理事/副会長
・家業の不動産管理会社 大島土地建設株式会社 3代目代表取締役
・2000年より「Re*innovation」を旗印に遊休資産の再生事業を開始
・近年は団地再生や中心市街地再生などの都市スクールにも取り組む
・2016年 「ホシノタニ団地」グッドデザイン金賞(経済大臣賞) 受賞
2017年1月16日には、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも取り上げられるなど、注目されている近代建築家の一人です。(オンデマンド視聴はこちら)
過去には共著で複数の建築リノベ関連本も出版しているので、合わせてチェックしてみてください。
・リノベーションプラス 拡張する建築家の職能
・2025年の建築「七つの予言」
・最高に気持ちいい住まいのリノベーション図鑑
「なぜ僕らは今、リノベーションを考えるのか」の目次は?
目次は下記の通りです。
まえがき──その環境に物語を
第1章 僕らとリノベーション
第2章 社会とリノベーション
第3章 ブルースタジオとリノベーション
第4章 建築家とリノベーション
interview 建築への能動性を喚起する(聞き手:田中元子)
あとがき
ざっと各章の紹介をすると、
第1章:大島芳彦さんがリノベを始めた経緯と背景
第2章:リノベーションの本質的説明(この書籍のメイン章)
第3章:ブルースタジオの手がけた10個の事例紹介
第4章:建築家に向けたメッセージ
という感じです。時間のない人は第2章だけ読めば伝えたいメッセージのほとんどがわかるかなと!
また、第3章には全184ページ中102ページが使われているので、この書籍自体は事例集(ケーススタディ集)という印象で読むのがいいと思います。
参考までに、紹介されている事例の一覧も載せておきます。
事例① 「ラティス青山」─ その場にあるべき働き方を発明する
事例② 「うめこみち」─ 歴史といとなみを場の価値にする
事例③ 「テラスコナサーフ」─ 人と人をつなぐハワイアンの調べ
事例④ 「たまむすびテラス」─ 公園のようにひらかれた団地
事例⑤ 「田中衡機ビル」─ プライドを街の価値にする
事例⑥ 「三木屋」─ 隠れた資源を見つけて活かす
事例⑦ 「nana」「pinos」─ モクミツを住みこなす
事例⑧ 「わの家 千峰」─ 蓄積された暮らしの価値を次世代につなぐ
事例⑨ 「スタイリオウィズ上池台」─ 人と街を食でつなげるシェアダイニング
事例⑩ 「青豆ハウス」─ 成長する住まい
なぜ僕らは今「リノベーション」に取り組むべきなのか
第2章に書かれている内容を中心に、僕なりに「今リノベーションに取り組むべき理由」をまとめてみます。
従来の住居に対する価値観が変化している【中古&賃貸】
「なぜ僕らは今、リノベーションを考えるのか」では、住居に対する価値観の変化が指摘されています。
これまでの日本で信仰されていた【新築&持ち家】の価値観が、対極の【中古&賃貸】に変化して脚光を浴びてきているとのこと。
そして、中古&賃貸をあえて選ぶ人たちの中には、
✔︎ 流動資産派
人生に2回以上は自宅購入をするタイプ
将来的な「売却」や「賃貸化」を見据えて中古住宅を購入するなど、ライフステージの変化によって流動化させやすい物件を住む傾向がある
✔︎ 新賃貸派
住宅ローンに懐疑的で不自然さを感じているタイプ
今のライフステージにふさわしい賃貸住宅を次々と住み繋いでいく傾向がある
の2つのタイプが登場していて、「自分の暮らしに何が大事か」という優先順位を考えて調整し始めています。
これを大島さんは【暮らしの編集】と呼んでおり、暮らしの編集者が増えてきているからこそ、リノベーションに取り組むべきなのかなと。
住宅の「量」ではなく「質」が問われる時代に突入した
上記の価値観の変化もあり、住宅の供給量ではなく「質」が問われる時代に突入したとも書かれていました。
ここでいう「質」とは、消費の対象になる『性能(ハードウェア)』の質ではなく、可変性や個別性によって感じられる価値の部分を指しています。
そして、その価値を正しく伝えるために必要なのが【共感を持てる物語】だと大島さんは語っています。
共感の輪が広がれば広がるほど、その建物 (住宅に限らず)の価値は高くなっていく。だからこそ、ただのリフォームではなく「リノベーション」が必要だということです。
ちなみに、リノベーションを「大規模なリフォーム」だと認識している人も多いかもしれませんが、
リフォーム(Re+Form)
古くなったり壊れてしまった建物を修繕して直す対処療法的なもの(手段)
リノベーション(Re+Innovation)
時代に合わないものごと(建物)を根源的に変化させる原因療法的なもの(考え方)
という違いがあるので、覚えておきましょう。
必要なのは「共感を持てる物語」を見立てること【本質】
とは言え、『本質的な価値』と言われるとちょっと難しく感じてしまうのが正直なところ・・・
しかし、大島さん曰く、リノベーションとは、
つくることではなく
使いこなすこと
だと言います。
わかりやすく言うと、誰にでもできる「大喜利」や「茶人の見立て」のようなものだそうです。
つまり、無価値だと思っていたものに対して、自分にとっての価値や使い方を見出して行動する。
その繰り返しこそが「リノベーション」であり、これからの時代に必要なものなのかなと。
これらを踏まえて第3章の実例を読めば、腑に落ちるポイントがいくつもあると思うので、ぜひ読んでみてください!
「なぜ僕らは今、リノベーションを考えるのか」を読んだ感想【書評まとめ】
この記事では、「【書評】大島芳彦さんの「なぜ僕らは今、リノベーションを考えるのか」は国内の成功事例とその秘訣が多数載っているケーススタディ書!」について書いてきました。
正直に言うと、僕自身はリノベーションまちづくり業界に足を突っ込んでいたこともあり、書かれている内容の大半はすでに知っているものでもありました。
そして、全ページのうち半数以上はブルースタジオの手がけた事例紹介に当てられているので、「なぜリノベーションを考えるのか」というタイトルに沿った内容はそこまで載っていないのかなと。
ただ、紹介されている事例には「どんな背景の建物を」「どんな想いでリノベして」「どんな結果効果が出たのか」に書かれています。
なので、実践している人にはものすごく参考になる内容なのではないかと感じました!
万人向けというよりは、これから住宅不動産のリノベ活用を検討している人に適した書籍だと思います。興味のある人はぜひ購読してみてください!
✔︎ 大島芳彦さんのリノベーションを始めた経緯が書かれている
✔︎ ブルースタジオの成功リノベ事例が解説付きで紹介されている
✔︎ 住宅不動産をリノベ活用したい人向けのヒントが詰まっている
というわけで、今回の記事は以上です。
では、また!