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【書評】山里亮太の自叙伝「天才はあきらめた」は凡人の努力の教科書である

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どうも、りょうかん(@ryokan_1123)です。
南海キャンディーズ・山里亮太さんの自叙伝「天才はあきらめた」を読みました。

というわけで、この記事では、【山里亮太の自叙伝「天才はあきらめた」を読んだ感想(書評)】を書いていきます

凡人のための努力の教科書「天才はあきらめた」

概要は下記の通り。

作品名 天才はあきらめた
著者 山里亮太
(南海キャンディーズ)
初版 2018年7月6日
出版社 朝日新聞出版
文庫頁数 256ページ

ちょうど1年前に発売されて、すでに13万部以上売れている作品です。

概要:山里亮太が芸人と生きるための努力を綴った自叙伝

本編は、南海キャンディーズの山里亮太さんが、芸人を目指して、悔しさを味わって、挫折をして、それでも芸人として生き続けるために人知れず努力を重ねてきた歴史を綴った、本音と懺悔の自叙伝です。

蒼井優さんとの結婚を機に『山ちゃんってスゴい!!』と言われるようになりましたが、イマイチ何がスゴいのかがわかってない人に読んでもらいたい内容かなと。

この本をオススメしたいのは、下記のような人です。

✔︎ 山里亮太のスゴさを知りたい人
✔︎ 努力の方法がよくわからない人
✔︎ 天才に憧れてるけど挫折した人

ところどころ『山里亮太のクズっぷり』が綴られているので、人によっては吐き気を催すかもしれません。元々生理的に山ちゃんが好きでない人は読まないほうが賢明だと思います

ただ、凡人として生きる人にとって、彼の努力の方法とその徹底っぷり(一歩間違えればクズになってしまうけど)には本当に学ぶべきポイントが多いのも事実です。

最後の「M-1グランプリ 2017」から「単独ライブ」までの流れは感動すら覚えるほど読後感の良い書籍なので、気になる人はぜひ読んでみてください。

 

【書評】天才をあきらめた「努力の天才」の物語

読んだ感想を書いていきます。

天才に憧れた凡人の「退路を断って天才を演じる」戦略

僕がこの自叙伝を読んで真っ先に浮かんだ感想は「なんか自分と似てるかも…」でした。その最大の要因は【天才に憧れて天才を演じている】という部分だと思います。

芸人を目指して大阪に進学したとき、大阪人の面白さに自信を失いかけた山里さんは「でも受験して大阪に引っ越しているから他に選択肢はない」と腹を括ったと言います。本文から一部引用します。

 退路を断つと、普段サボるために頭の中に出てくる言い訳の数々をすぐつぶすことができる。けれど、あまりに逃げ道をなくすとプレッシャーになりしんどくなり過ぎてしまうので、退路を断ったおかげで頑張れたときには、そこに橋を架けるようなイメージでサボりたい気持ちに従って、休む。それをしっかりとご褒美と感じながら。そしてその橋を壊すことで、またしっかり努力を始める。根性なしの僕は、この方法でなんとか頑張れた
 天才はきっと逃げ道なんか見えてないんだろうな。(略)天才っていいな……。そんな思いが生まれてくるときもあった。
 でも、自分にはないものだからしょうがない。天才には無縁であろう退路の誘惑、それに打ち勝ったら天才と同じ道が見える。それは周りの人から見たら、僕が天才に見えるのかも? その気持ちが、憧れから来る絶望を止めてくれていた。 (p35)

また、養成所(NSC)時代、キングコングが爆発的に売れたあと、悔しさを感じながらこのような努力を続けていたと言います。

 とりあえず自分の好きな芸人さんのネタをひたすら書き起こしすことをやってみた。例えば当時、大好きだった爆笑問題さんをテレビで見て、そのしゃべりを必死に書いた。ダウンタウンさんの番組で自分の笑ったところで止めて「今なんでおもしろいと思ったか」をノートに書いた。おもしろい人のエピソードを真似してやってみたり、ある先輩が辞書を読んでいると聞いたので、辞書を読んで言葉数を増やしてみたりもした。
 こんなことは堂々と言うことではないのはわかっています。こんなに必死にやられちゃうと、見てる方は笑えなくなるでしょう? だからこんなことを家でしているってことは、必死に隠していた。ただ一つ「天才」と勘違いしてもらえるように。 (p62)

天才に憧れた凡人(と言いつつ山ちゃんは天才なんだけど)が唯一周りから「天才」と思われるための方法は、圧倒的に努力をして天才を演じる以外にない。

まさに、天才に憧れている凡人(=僕に)向けてのメッセージを言われているんじゃないかと錯覚するようでした。

ネガティブなポジティブ思考こそが「最強の武器」だった

ただ一方で、僕とは対照的な部分に感じたことが、山里さんは根がネガティブなんだという点。だけど、そのネガティブさをポジティブ思考に転換させる技術が凄まじく上手い人なんだと感じました。

それが顕著に表れている一節を引用します。

 しかし、それ以外の人はこの世界に向いていないという答えを出すと、その瞬間にそれは「サボる理由」に変化してしまう。だから必死でその答えを無視するために、逃げるという選択肢なんて思いつかないくらいの努力をしようと思った。 (p63)

芸人の世界は真の天才しか生き残れないのかもしれない・・・とネガティブに考えつつ、それを否定するように「努力する理由」としてポジティブに転換する。これは誰にでも出来ることではないと思います。

さらに、こちらの一節も印象深かったです。

 嫉妬をガソリンに変える。そして、サボる理由がなくなったことを喜ぶ。そう思い込ませた。サボらなければ自分にもチャンスがあると思うことで、努力に使う時間を圧倒的に増やせた。そうだ、いいんだ、頑張れるんだ、と言い聞かせて嫉妬の炎でエンジンを燃やし続けた。 (p161)

南海キャンディーズのNSC同期には売れた芸人が多く、それは同期のキングコングが異例のスピード出世をしたことに対する【嫉妬心】によって奮起したと言われています。そして、その筆頭は間違いなく山里亮太さんです。

その嫉妬心を「サボる理由を無くすために使う」「努力する時間を増やすために使う」という方向に転換していました。きっと、ここまで人気になったのは、それを誰よりも強く激しくやった結果なんだろうと思います。

紆余曲折を経た「南海キャンディーズ」の美しきコンビ愛

で、個人的にグッときたのが、南海キャンディーズというコンビが経てきた紆余曲折の歴史です。

前のコンビ解散の反省を活かして、しずちゃんの趣味を調べあげて口説き落とした山ちゃん。
努力しないのにキャラの良さで売れていくしずちゃんに対して相方なのに嫉妬する山ちゃん。
冠番組の台本を事前に読み込んで、しずちゃんに一言も喋らせない戦略を実行する山ちゃん。
しずちゃんがボクシングで活躍し始めてから「使えるかも」と応援するフリをする山ちゃん。

あまりにお互いのことが嫌いすぎて、コンビなのに共演NGが出ていた時期もあると言います。そんな様子を見ていた、先輩芸人から言われた言葉がこちらです。

「お前がひどいことをしてるのは知ってた。でも、あの子がいなくなったらお前は駄目だ。だから、勝手ながらあの子に『お前と解散しないでくれ』って言ったんや。そしたらしずちゃんなんて言ったと思う? 『私から解散を言うことはありません。私は山ちゃんが拾ってくれたから今ここにいるのはわかっているし、山ちゃんから言われるかもしれないけど、私からは絶対にありません』って……お前どうするんだ?」 (p215)

また、ボクシングに打ち込んでいたしずちゃんにも、心境の変化があります。

「ボクシングをやって、山ちゃんが言ってた『全力でやれ』って言葉の意味が、本当に自分はできてないんだってわかった」 (p216)

最悪のコンビ仲だった暗黒時代を10年以上の時間をかけながら乗り越えて、まさかのキューピットにまでなった。山里さんが結婚した今だから、読んだときの感慨が一層深くなるというものです。

 

最後の解説ページを書いている同期で親友の「オードリー」若林正恭さんは、以前なにかのラジオ番組で南海キャンディーズについてこのように表現していました。

しずちゃんは、自分が真剣に本気でボクシングに打ち込んだことで、「山ちゃんが『ストイックになれ』と言っていたのはこういうことだったのか」と気づけた。
山ちゃんは、オレ(若林)と『たりないふたり』って番組で何本も漫才をしたことで、「誰かと掛け合いをしながらお笑いを作るってこんなに楽しのか」と気づいた。

そんな2人だから、ようやくお互いのことを向き合って見れるようになったんじゃないかな〜

ここまでの紆余曲折の幅がスゴいからこそ、「南海キャンディーズ」というコンビの愛の深さを強く感じてしまいます。いいですね、こんな風なチームを組んでみたいものです。

 

まとめ:凡人が努力を続ける意味を教えてくれる一冊

蒼井優さんとの結婚を機に「山里亮太ってキモいだけじゃないの…?」と気になった方にこそ、ぜひ読んでもらいたい一冊です。

また、劣等感に押しつぶされて腐りそうになっている人にも一読してほしい。天才にはなれなくても天才に見えるように演じ続けることは出来ると、実例とともに教えてくれます。

そして、天才を演じる努力を続けると、いつの間にか天才と呼ばれる存在になる。

 

えっ、その努力が続けられない人はどうすればいいのかって??

自分を「頑張れなくさせるもの」を振り切って、全力で走れ!

って山里亮太が言ってたよ。

 

というわけで、今回の記事は以上です。

では、また!

ABOUT ME
りょうかん
1990年11月 鳥取市生まれ / ブロガー兼WEBライター / 鳥取と熱海の二拠点生活中 / ✍毎日noteを書いてます / Amazonほしいものリスト / お仕事のご依頼は こちら を参照ください